AT車が乗用車市場のほとんどを占め、免許取得の際にもAT限定を選択する人が約7割に上る現在、MT車は「趣味の乗り物」と見なされる面があります。
自動車メーカーもMTを設定するのはスポーツカーやオフロード系など、「趣味性の高い車種」に絞る傾向があるでしょう。しかし一方で、ワゴンRやヤリス、マツダ2など、スポーツ系ではない車種やグレードにMT設定を残しているメーカーも。
実際のところ、こうした「実用車のMT車」に乗っている人たちは、どのような理由でそれを選択したのでしょうか。オーナーの方々に話を聞きました。
「ATの方が運転しにくい」という声も
AT車はMT車に比べ「運転操作の手間が少ないこと」を特徴としています。そのため通常、「運転の楽さ」を重視するのであればATを選択するものと思われますが、なかにはそうではない人もいるようです。
「単純に、自分にとってはAT車の方が運転しにくいと感じるので、ずっとMTに乗っています。今はトヨタのC-HRですね。
MTで免許をとって、しばらく親のAT車に乗っていましたが、自分の操作できる部分が少なすぎて怖いという印象がありました。クリープ現象も、勝手に車が進むことに違和感があるんですよね。
ただ、そんなにMTの操作が楽しいとも感じていないです。とにかく自分の意思でコントロールできる安心感がほしくて、ずっとMTを選んでいる感じですね」(30代男性)
たしかにMTで免許を取得し、その後AT車に乗った際、違和感を覚える人は少なくないようです。しばしば聞かれるのが「自分の意思に関係なく進んでいく感じが怖い」といった意見であり、これは上のお話にも共通するポイントだといえます。
多くの人が時間とともにAT車に馴染んでいくなか、「違和感を拭えずMT車に乗りつづける」という人も少数ながらいるのでしょう。