為替相場を理解する上で重要とされる経済指数が「ビッグマック指数」だ。各国の経済を為替レートだけでなく、実情に合わせて判断するのに役立つ。そんなビッグマック指数とはどのようなものなのか?
ビッグマック指数とはどういったものか?
ビッグマック指数とは異なる2つの通貨において、購買力を比較するために用いられる経済指数のこと。1986年にイギリスの経済誌「エコノミスト」によって考案され毎年発表されている。購買力とは通貨がどれほどの財やサービスを購入できるかという能力のことで、その通貨の紙幣価値を表している。
ビッグマックは世界中で同一の品質で販売されている。だから違う国で販売されていても、同じものであれば同じ値段で買えるはずだという「一物一価の法則」の考え方に基づいて考案されている。
指数の出し方は、世界中で販売されているマクドナルドのビッグマックの価格をアメリカの価格と比較していく。例えば日本とアメリカのビッグマック指数を計算するには、日本のビッグマックの価格をアメリカのビッグマックの価格で割ることで求められる。
このレートを実際の為替レートと比較することで、円がアメリカドルに対して過大評価または過小評価されているかを判断していくものだ。
例えば2019年1月時点でのアメリカのビッグマックの価格は5.58ドル。日本のビッグマックの価格は390円だ。2019年に発表されたビッグマック指数では、日本円のビッグマック指数は-35.5%で過小評価されているという結果になった。
ビッグマック指数は特に長期の為替レートを予測する上で有効な指数だとされている。現在では同じように購買力を把握するための経済指標として、スターバックスコーヒーのラテを使った「トール・ラテ指数」も発表されている。
ビッグマック指数から購買力平価と為替の動向が予測できる
購買力平価は(Purchasing Power Parity)とは「一物一価の法則」を基本にしていて、為替レートはそれぞれの通貨で買える商品の価値によって決定していくという考え方だ。
例えば同じマクドナルドのハンバーガーであれば、アメリカでも日本でも同じ価格で買えるよう、為替レートが動く。実際の為替レートと購買力平価に差がある場合、為替レートは今後、購買力平価に近づくように推移していくと考えられている。
先ほどのビッグマック指数であれば、ビッグマックはアメリカでは5.58ドルで販売されているが、日本円に換算すると(2019年5月23日1ドル=110.33円)615円になる。しかし実際は390円で販売されており、円は実際よりも過小評価されている。
つまり購買力平価の考え方に基づくと円の価値は今後上がっていくという予想になる。実際よりも円は割安であり長期的にみると「買い」が推奨されるというわけだ。
ビッグマック指数で日本と代表的な各国を比較 スイスやトルコ、オーストラリアなど
ビッグマック指数で各国と日本を比較してみた場合、もっとも価格が高かったのはスイスで6.50スイスフランだった。アメリカドルに換算すると6.62ドルとなっており、ビッグマック指数は+18.66%だ。2位ノルウェー、3位スウェーデンと北欧の国が続き、基準通貨となるアメリカドルは4位だった。
日本はというと23位でビッグマック指数は-35.55%。スワップポイントで注目されるトルコは54位で-64.21%とかなり過小評価されており今後に期待できる。同じくスワップポイントで人気のオーストラリアは10位で-22.01%。日本円の方が割安となっておりこちらは注意が必要だ。
為替レートの予想はビッグマック指数も参考に
ビッグマック指数は今後の為替レートの推移を予想する上で役立つ指数とされている。必ずしも為替レートがビッグマック指数通りに動くとは限らないが、参考になる数値のひとつとして利用する価値はある。FXをやっている人はもちろんのこと、世界経済の現状を把握するためにも知っておきたい。
文・MONEY TIMES編集部
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