三菱ケミカルのゴルフ用グラファイトシャフト「KUROKAGE」をご存じでしょうか? 海外ツアーで評価を高め、日本国内にも逆輸入されていたものの、絶版となっていたあの名器が、今季めでたく数量限定ながら復刻されることになりました。しかもこれ、単なるリバイバルでないのがポイントなのです。

トッププロ御用達の超ハードスペックな手元系シャフト

世界最高峰のプレーヤーたちがしのぎを削る米国PGAツアー。そのPGAツアーでレジェンド、タイガー・ウッズに次ぐ史上2番目の若さで世界ランキング1位となり、“ポストタイガー”最有力と長年呼ばれてきた選手が、北アイルランド出身のローリー・マキロイです。

そのマキロイがメジャーで勝利を重ね“イケイケ”だった2010年代中盤に、当時契約していた「ナイキ」のヘッドに組み合わせていたカスタムシャフトが「KUROKAGE(クロカゲ)」でした。

英語とも日本語ともとれるこの名称は、開発メーカーが日本企業の「三菱ケミカル(当時は米国現地三菱レイヨン)」であったこととおおいに関係があります。実は当時のPGAツアーにおいて三菱ケミカルのゴルフ用グラファイト(カーボン)シャフトは、圧倒的なシェアを持ち、中でもKUROKAGEは、米ツアープロの使用を想定して開発された、超が付くほどのハードスペックで名を馳せた名器でした。

また、当時といえば「ZEN(禅)」のように、日本文化が欧米で“クール”とされていた頃。KUROKAGEはまさに、日本発でアメリカ市場で勝負するために開発されたプロダクトだったのです。その後、発表され、現在でもアスリートゴルファー御用達のシャフトである「TENSEI」もその流れを引き継ぐ存在といえるでしょう。

PGAツアー御用達シャフト「KUROKAGE(クロカゲ) XT Series」が再上陸のパートナーに選んだ意外なお相手
(画像=『JPRIME』より 引用)

そんなKUROKAGEシリーズの中核モデルとして日本向けにリリースされていたのが元調子の「KUROKAGE XT Series」で、同モデルは、 2020年末にユーザーに惜しまれつつ販売を終了していました。

ただし、この間、日本のカスタムクラブ市場では“KUROKAGEロス”ともいうべきか、ツアー仕様でしなりの少ないハードなグラファイトシャフトの方向安定性の高さを支持するアスリートなゴルファーが増してきました。これは、市場で人気の海外メーカー製のドライバーの多くが高慣性モーメントなブレない性能を追求しており、そうしたヘッドに低トルクなKUROKAGEのようなシャフトが好相性なことも理由のひとつでしょう。

そうしたユーザーの声を受けて、今回発表されたのが5月24日から限定発売される「KUROKAGE XT series」というわけです。しかも、一新されたデザインをプロデュースしたのがおなじみゴルフアパレルの「BEAMS GOLF(ビームス ゴルフ)」というから驚きです。

PGAツアー御用達シャフト「KUROKAGE(クロカゲ) XT Series」が再上陸のパートナーに選んだ意外なお相手
(画像=『JPRIME』より 引用)

新作はビームス ゴルフのイメージカラーである「グリーン」、「ホワイト」、「ブラック」をベースにした3種類のコスメをまとい、アメリカ市場を意識したKUROKAGEのデザインから良い意味で脱却しています。

PGAツアー御用達シャフト「KUROKAGE(クロカゲ) XT Series」が再上陸のパートナーに選んだ意外なお相手
(画像=『JPRIME』より 引用)
PGAツアー御用達シャフト「KUROKAGE(クロカゲ) XT Series」が再上陸のパートナーに選んだ意外なお相手
(画像=『JPRIME』より 引用)
PGAツアー御用達シャフト「KUROKAGE(クロカゲ) XT Series」が再上陸のパートナーに選んだ意外なお相手
(画像=『JPRIME』より 引用)

ビームス ゴルフといえば大手セレクトショップの中でゴルフアパレルにいち早く参入した“老舗”です。これまではセレクトショップとしての強味である他社とのコラボレーションや、オリジナルのアクセサリーで人気のブランドであり、ゴルフギアは今まで展開していませんでした。

ただし、近年ビームスはアパレルのセレクトショップの業態と共に企業や自治体の商品開発やプロモーションを請け負うBtoBのプロデュース業にも注力しています。有名なところでは「グローブライド(ダイワ)」社の釣り用アパレル「ダイワ ピア39」もそんな彼らのクリエイティブの一つです。

従来、ゴルフ用カスタムカーボンシャフトのデザインは派手で目立つものか、モノトーンでシックなものに大別されがちでした。それは離れた場所から見ても商品が目立つためのメーカーの理論であり、アドレスで構えた際に悪目立ちさせないユーザー目線、というある意味では理にかなったものでした。

今回ビームスが提案したのは、ゴルフシャフトを“ファッションを楽しむようにゴルフクラブ選びを楽しむ”存在でした。これは既存のカスタムシャフトメーカーには見られなかったことです。
デザインはビームスのクリエイティブチームが担当、ページ冒頭のキービジュアルももちろん彼らの仕事というわけです。今回の取り組みはどのような経緯で実現したのか、ビームスのプレス担当に聞いてみました。

「ビームス ゴルフとして現状ウェアがメインですが、ギアの開発、デザイン監修の取り組みも前向きに行いたかった経緯があったことと、ギアメーカーとファッションブランドとのコラボによる新たな可能性や話題性を創出したいという思いがありました。クロカゲという製品が備える完成された性能は従来のまま、デザインの刷新のみを当社が請け負うかたちで、およそ1年半前にプロジェクトはスタートしました。『KUROKAGE』という世界中のゴルファーに愛されているシャフトであるため、元々のファンに対し、従来イメージの踏襲と復刻した話題性に対し、どう折り合いをつけてデザインするかが課題でした。カスタムパーツということで、ヘッドやグリップとのマッチングを考慮する必要もあり、一筋縄ではいきませんでしたが、最終的には、シャフト選びもファッション要素として楽しんでもらいたい、という思想を上手く盛り込めたのではと考えています」(ビームス クリエイティブ 梅田悠貴)

PGAツアー御用達シャフト「KUROKAGE(クロカゲ) XT Series」が再上陸のパートナーに選んだ意外なお相手
(画像=『JPRIME』より 引用)
PGAツアー御用達シャフト「KUROKAGE(クロカゲ) XT Series」が再上陸のパートナーに選んだ意外なお相手
(画像=『JPRIME』より 引用)

ゴルフクラブ×ファッションの新時代を告げるビームスと三菱ケミカルの鮮やかなるコラボレーション、コロナ禍以降、盛り上がり続けるゴルフアパレルの新潮流となりそうです。

【商品】
KUROKAGE XT 50/60/70 各S/Xフレックス
¥44,000(税込)

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文 藤井順一

提供元・JPRIME

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