「同様のケースは今後も起きるだろう」

 テレビドラマ制作関係者はいう。

「この業界では契約書が締結されないというのは普通のことであり、仮に契約書を締結していたとしても、どのレベルまでの改変を許容するのかどうかをあらかじめ契約書で明文化するのは困難なので、契約書を締結したからといって同様の問題の再発を防げるわけでなない。『必ず漫画に忠実に』『漫画に忠実でない場合は本件原作者がしっかりと加筆修正する』という条件について、日テレは提示された認識がないと言い、小学館は提示していたと言っているが、どこまで忠実にするのかを事前に定めることはできないし、脚本の内容がFIXしなければ最終的には著作権上の都合で原作者の意向に従う以外に方法はない。そもそも書面を取り交わしていなかったということなので“言った言わない”の次元の話。また、制作期間が6カ月ほどというのも一般的なので、制作期間的に問題があったわけでもない。

 報告書を読んだ感想としては、ここまで原作者が脚本の内容に指摘を入れてくるというのはレアなケースとはいえるだろう。小学館は途中で、脚本家を原作者の意向をそのまま取り入れてくれるような若手に交代する案も提示していたということだが、確かに最初から脚本家がそのようなタイプであれば、これほど揉めなかっただろう。原作に厳格に忠実であることを求める原作者と実績豊富なベテランの脚本家という組み合わせとなる以上、今回のような問題は防ぎようがない」

 別のテレビドラマ制作関係者はいう。

「小学館は芦谷さんからの脚本に対する意見や要望を柔らかくして日テレに伝え、さらに日テレはそれを柔らかくして脚本家に伝えていたため、結果的に芦谷さんの意図が脚本家に正確に伝わっていなかった可能性があるだろう。ただ、脚本家は日テレに対して、原作者からの要望を咀嚼して自分に伝えてくれるよう要求しており、また芦谷さんも日テレからの直接面談したいとの要望を断っているので、結果的にこのようなリレー方式のコミュニケーション形態とならざるを得なかった。

 報告書にはいろいろと再発防止に向けた提言が書かれているが、一連の経緯を読む限り、原作モノのドラマである以上、同様のケースは防ぎようがないし、おそらく今後も起きるだろう。事前に契約書を取り交わしたり、制作期間を長くしたところで、原作の著作権は原作者にあり、脚本の著作権は脚本家にあるので、双方が折れないという状況になれば、同様のトラブルは生じることになる。根本的な解決策としては、もう原作モノのドラマはつくらないようにするという以外にない」

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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