「認知行動療法」を知る前の中島さん
ーーー中島さんご自身は「認知行動療法」を知る前はどのような状態だったのでしょうか?
学生時代には受験勉強も計画的にできなくて、お腹いっぱいになると後のことを考えずに寝てしまっていました。大学入試に合格した時も、送られてきた入学手続きを申し込み締め切り日まで開かずにいたので入学金を振り込めず、入学できなかったという思い出があるくらい、時間管理ができなかったんです。
でも、認知行動療法で時間管理の仕組みを学んで子どもに伝えたら、早い段階から時間を意識して、通信教育や夏休みの宿題もスケジュールを立てて計画的に進めて、親がノータッチなくらい、コツコツやっているんです。認知行動療法を使ったら、こんなに計画性って育まれるんだと、我が子を目の当たりにしてびっくりしています。
私自身も計画的に動けるようになって、To Doだけでなく、目標や夢を達成できるようになりました。
ーーー認知行動療法を知ってから、未来に目が向けられるようになったんですね。
そうなんです。認知行動療法を知る前は、周囲から精神的に頑張れみたいに言われていたのですが、変わることができませんでした。精神論ではだめだったんです。
特に、若い男性や体育会系の人は、精神論で頑張れと言われてきている方もいると思いますが、「頑張らないといけない」と、そこで思考停止状態になって、本当はむちゃくちゃな締め切りを迫られていることに気づかなかったり、いつもとは違う仕事の仕方をプランの段階で選択すべきなのに、いつも通りのやり方でがむしゃらに頑張って体調を崩して周りに迷惑をかけたりしてしまう、ということもあるので、精神論だけで進めるのは怖いなと思っています。
インタビュー後編では、認知行動療法や「すーぷもだ」の時間管理術を特におすすめしたいADHDの方の特徴や、合う仕事などについてお聞きしました。
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インタビュイープロフィール
中島美鈴(なかしま・みすず)
公認心理師、臨床心理士。心理学博士(九州大学)。専門は成人期のADHDの認知行動療法、時間管理、集団認知行動療法。
肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学人間環境学研究院にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。ほかに、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。
朝日新聞デジタル医療サイトapitalにて認知行動療法コラムを連載中。peatixにてオンライン時間管理グループレッスン、セミナーを開催中。