WindBorne Systemsの次世代スマート気象気球
WindBorne Systemsのスマート気象気球は、持続時間と制御性の高さで、これまで達成できなかった世界規模の大気観測を実現する。従来の気象観測気球が約2時間しかデータを収集しないのに対し、同社のスマート気象気球は1か月以上自律飛行して気象データを収集することが可能だ。また、知名度の高いほかの気球とは対照的に、コスト効率が高く小型である点も魅力だろう。打ち上げ時の重量は1機あたり6ポンド以下で、手のひらに収まるセンサー・ハウジングを搭載している。
軽量かつ排出ガスもゼロになるように設計されているスマート気象気球は風によって推進するため、恒久的な観測を手頃な価格で持続可能なものにしている。
WindBorne Systemsは、2023年時点で600以上の気球を打ち上げており、大気圏の河川、北極サイクロン、さらには2022年に米国で大災害をもたらしたハリケーン「イアン」など、世界中の異常気象の中で使用した。
高精度なAI気象予測モデル「WeatherMesh」
2024年2月、WindBorne Systemsはディープラーニングとデータ集積技術を通じて、正確な地球規模の中期天気予報を生成する新しいAI予測モデル「WeatherMesh」を発表。同モデルは気温、気圧、風速と風向、露点、雲量、入射放射線、降水量を予測するもので、数年分の予報の進歩に相当する。WeatherMeshはディープラーニング数値天気予報(DLNWP)モデルとして、24時間のリアルタイム予報において、すでに世界的な予測精度に達しているという。たとえば、GoogleのAI開発組織であるGoogle DeepMindのAI気象モデル「GraphCast」が以前に保持していた記録を超えている。
WeatherMeshは、主要な予測指標である500ミリバールでのジオポテンシャル(地球の重力ポテンシャル)の高さを正確に予測し、GraphCastを11%上回った(0.25度の解像度で評価)。
そのほか、欧州中期天気予報センター(ECMWF)の中期モデル(ENS)が保持する数値天気予報(NWP)として知られる物理ベースの気象モデルの予測精度を凌いた実績もある(WeatherMeshは、5日間予測においてENSより6%~14%高かった)。