■マンハッタン計画
第二次世界大戦において、交戦国は新兵器の開発に鎬を削った。原子爆弾がそうである。
20世紀になって、アインシュタインらによって原子物理学が進歩し、1938年にドイツのオットー・ハーンとフリッツ・シュトラースマンが核分裂を発見した。この核分裂を利用した兵器の開発が原子爆弾の誕生につながる。
ヨーロッパではヒトラーがユダヤ人を迫害したため、優秀なユダヤ系の物理学者がアメリカに亡命した。ナチスの反ユダヤ主義は、アインシュタインをはじめとする学者をドイツから奪うという皮肉な結果をもたらした。
アインシュタインは、フランクリン・ルーズベルト大統領に手紙を書き、原子力を利用すれば強力な新型爆弾が開発できる可能性を示唆した。アメリカは、核兵器の開発でドイツに先を越されるのを恐れて、1942年、原爆開発のため「マンハッタン計画」を始動させた。
科学者のリーダーには、オッペンハイマーが選ばれた。原爆開発チームは、ロスアラモス国立研究所で研究開発を続け、1945年7月16日、ニューメキシコ州で世界初の核実験(トリニティ実験)に成功する。そして、直後の8月6日に広島に、9日に長崎に原子爆弾が投下されたのである。