今年(2024年)1月末、あるまんが家が、自作のテレビドラマ翻案をめぐってブログでその内情を綴ったところSNS上で激しい賛否を呼び、精神的に追い詰められた末に、自ら命を絶った。その余波はとてつもなく大きなものとなった。
もっともその後、あの鳥山明氏の急死の報もあってこの事件への世の関心は(一時的にとはいえ)薄れ、いくらか落ち着きを取り戻しているように思える。
そろそろ違う視点からの考察があっても、いい頃ではないだろうか。
唐突で恐縮だが、鳥山の「ドクタースランプ」の愉快な珍発明「タイムくん」にお願いして、1895年(明治中期)に跳んでみよう。
行く先はアメリカ・ニューヨーク。
これは当時の新聞・日曜版に毎週掲載されていたカトゥーン「ホーガン横町」。ニューヨーク貧民街の子どもたちの戯画化を通して、ときには社会風刺、ときには愛国心を鼓舞したりする人気連載だ。
やがてファンレターが編集部宛てに相次ぐようになった。作者宛てというよりは、中華系とおぼしい、禿げの男の子宛てにだ。
翌1896年にタイムくんと共に跳んでみよう。そしてニューヨークのどこか街角のスタンドで、二つの新聞日曜版を買って、目を通してみると…
違う社の日曜版に、違う絵師によって、同じ男の子が出てくることに、きっと驚かれるだろう。