ギフト用、6次化など差別化を図るバナナ栽培
日本で食されているバナナのほとんどは、外国産の1種に限られています。しかし、沖縄では、見た目も味わいもこれとは異なる種類のバナナが栽培され、新しい潮流を生み出そうとしています。2軒の生産者の取り組みを紹介します。

『琉球プランテーションズ』の林誠さんは、甘くてさわやかな風味のアップルバナナに魅せられて、6年前から沖縄県豊見城市(とみぐすくし)でバナナの栽培を開始。元々建設会社を経営していましたが、繁忙期とそうでない時期の差を埋め合わせる事業を探していたところ、「バナナが熱い」という声を聞いて興味を持ち始めました。草刈りをする手間があるくらいで栽培にあまり手が掛からず、施肥は少量で農薬は不使用。ただし、一度木が倒されてしまうと翌年春までは収穫ができなくなるため、台風によるリスクを回避できるよう、例えば兼業で行うなどの対策が必要だと林さんは話します。経営安定のために3年前より6次化としてバナナジュースの加工・販売を行い、現在は5軒の農家からもバナナを仕入れています。


読谷村(よみたんそん)に店舗を構えてバナナと牛乳をミックスしたバナナジュースを販売しましたが、コロナ禍の影響を受けて観光客が激減。補助金でフードトラックを購入して、現在は豊見城市にあるショッピングモールをはじめ、各地で開催されるイベントでも販売を行っています。「冷凍してもバナナの味が変わらず、冷凍のままバナナジュースにできるので、フードロス、オペレーションの観点からもバナナは使い勝手がよい素材です。また、いろいろな飲料や食材と組み合わせてバリエーションも豊富に打ち出せます」と林さんはバナナのメリットを語ります。また、バナナの皮をむいて冷凍する過程を福祉作業所に依頼して、地域活性化にも貢献しています。今後はECサイト販売や異業種とのコラボレーションにも力を入れていく予定。最近は子どもたちに自社のキャラクターをスケートボードに描いてもらった作品7点をNFT(非代替性トークン)で販売するなど、発想力と行動力にすぐれた林さんの勢いは増していくばかりです。

沖縄本島南部の八重瀬町で、約30年前からバナナ栽培を行っている『ぐしちゃん銀バナナ農園』。今から10年前、皮が未成熟時に銀白色に見えることから「銀バナナ」と呼ばれるナムア系品種に限定しました。というのは、糖度30度以上でほのかな酸味があり、もっちりとした食感のある銀バナナを大変気に入ったからでした。以前までは父親一人でバナナ農園を管理していましたが、手伝って欲しいと3年前にお願いされ、娘の久保文乃さんは農園の運営に携わりました。手伝っているうちに、沖縄県産バナナのおいしさをもっと県内外の方々に伝えていきたいと気持ちが膨らみ、ギフト用販売やECサイト販売にも力を入れるようになりました。

バナナに付加価値をつけるために、久保さんはさまざまな工夫を凝らしています。栽培途中での袋がけや、収穫後に洗って乾かしてからの箱詰め、オリジナルの贈答ギフトボックスの製作、生産背景のSNS発信などを行っていますが、最大の強みは注文したお客様に合わせて収穫を行うことです。「輸送中の揺れに耐えつつ、到着して1〜2週間で食べ頃を迎えるタイミングを、バナナを見て『角がこれくらいならいける』と父が長年の経験から見極めて収穫しています」と久保さんは説明します。このような細やかな配慮を積み重ねてきた結果、県外のファンも徐々に増えてきました。自身が事業に加わるようになって300坪だった圃場は現在2000坪になり、「沖縄県産バナナの魅力を今後も伝えながら、自信のある沖縄県産バナナを県内外へ届けていきたい」と久保さんはこれからもチャレンジを続けていきます。
沖縄で盛り上がり始めたコーヒー、バニラ、バナナの栽培。生産者たちの絶え間ない挑戦はこれからも続き、身近なところでこれらの生産物を目にする日が近い将来にくるかもしれません。
※本記事はインフォメーションです。
提供元・Business Journal
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