やわらかい香りが特徴の沖縄バニラ

希少価値があり、沖縄の「食」の未来を創造する食材「OKINAWA CLOSE-UP FOODS」
(画像=久米島で作られているバニラ。バニラビーンズを収穫後、キュアリングを行って完成します。,『Business Journal』より 引用)

サフランの次に高価なスパイスと言われているバニラは、マダガスカルをはじめメキシコ、インドネシア、中国などで生産されています。世界的に価格が高騰している状況や、安全安心なものに対するニーズから国産への要望が高まってきています。

希少価値があり、沖縄の「食」の未来を創造する食材「OKINAWA CLOSE-UP FOODS」
(画像=楽しそうにバニラについて説明してくれた『東江農園』の高江洲郁世さん。,『Business Journal』より 引用)

沖縄本島から飛行機で約30分、フェリーで約3時間の場所にある久米島。『東江(あがりえ)農園』の高江洲郁世(たかえす・いくよ)さんは、ここで有機JAS認定のバニラを育てています。アパレルの仕事に長年従事していましたが、高江洲さんの夫が10年前に「将来沖縄でバニラがすごいことになる」と話したことから興味を持ち始め、2017年に夫の母方の実家がある久米島に移住。沖縄県糸満市で蘭とバニラの生産・販売を行う『仲里園芸』で研修を受けて、放置されていたハウスを3か月以上かけて片付けた後、300坪にバニラの苗を植え付けました。それから約7年、圃場は600坪に増えて、バニラ約1万5000本を収穫できるまでになりました。

希少価値があり、沖縄の「食」の未来を創造する食材「OKINAWA CLOSE-UP FOODS」
(画像=キュアリング工程の途中のバニラ。発酵、熟成を促して香りを引き出す重要な作業。,『Business Journal』より 引用)

高江洲さんは、沖縄県の気候はバニラ栽培におおむね向いていると話します。「あまり手を掛けずに栽培できています。ここ数年は日差しが強くて高温障害が出ましたが、ネットで遮光して焼けないように対策しています」。甘いバニラの香りを引き出すには、キュアリングと呼ばれる発酵・熟成の工程が必要で、収穫後に台湾から購入した機械でこれを行います。納得できる香りにするのに試行錯誤中ですが、沖縄産バニラらしさがあると高江洲さんは言います。「香りが強い海外産に比べて、沖縄産のものは角が立っていないまろやかな香り。この久米島のテロワールを生かして和菓子などに使うなど新しい提案を行っていきたいです。また、消費者にとって身近なものにしたいため、料理にも使えることをアピールしていきたい」。バニラを使った商品開発や栽培農家を増やす取り組みも今後行っていくつもりです。