■医師と政府の対立

医師らの政府に対する反発の始まりは、2020年にさかのぼる。当時、医学部の入学定員を10年間で4,000人増やす提案が公表され、医師らによる抗議とストライキが勃発。政府は計画を廃棄する決定を下した。

2022年のOECD(経済協力開発機構)のデータによると、韓国の医師は世界で最も高い収入を得ており、公立病院の専門医は年間平均で約20万ドル(約2,900万円)を稼いでいるという。

実は政府の政策を反対する医師の中には、医療サービスの質を低下させることだけが理由ではないと指摘する声もある。ソウル国立大学の公衆衛生専門家であるクォン・スンマン教授は、「医師の数が増えれば競争が激しくなり、収入が減るため、医師供給の拡大に反対しているのです」と指摘した。