デザイン思考を身につけるには「世界へ」!
ーーデザイン思考を身につけるために、どんなことからはじめるべきでしょうか。読者へアドバイスをいただけますか?
高野:日本人がデザイン思考を苦手とする理由は、軍隊方式で一律に同じ考え方、同じ価値観を植え付けられていることだと思います。先生の言うことが絶対で、指示に従う。社会に出たら、マニュアルがあって、その通りに働くんです。
これは悪いことばかりではなくて。1月に飛行機事故がありましたが、全員が無事に脱出できたのは、日本人だからでしょう。あの事故が海外で起きてたら、勝手にドアを開けて逃げる乗務員や乗客が続出して、大惨事になっていたかもしれません。
僕は若い人へ「早く海外に行け」とアドバイスします。日本にいたら何も見えませんが、海外で日本の良いところと悪いところ、強みと弱み、全部わかります。
ーーどんな国や地域に向かえばいいのでしょうか?
高野:どこの国でもいいんです。世界がどうなっているかを、まずは見る。自分が見ているもの、見えていないものを知りましょう。日本が現状に対して危機感をどれだけ抱くべきなのかも見えてきます。
日本人の視点の距離感は、対象に近づいて、顕微鏡を覗きこんでいるような、研究者や技術者のものです。「日本人にしか作れない」部品は、ここから生まれます。複数の視点をもつこと、さらにその距離も重要です。
インタビュイープロフィール
高野雅彰(たかの・まさあき)
DG TAKANO代表取締役
1978年大阪府東大阪市生まれ。神戸大学経済学部を卒業後、IT企業に就職し3年で独立。高い節水率と洗浄力を兼ね備えた節水ノズル「Bubble90」を開発し、2009年「"超"モノづくり部品大賞」でグランプリを受賞。2010年に社会課題や環境問題等を解決するデザイン会社 「DG TAKANO」を設立。2022年「サウジ・日本ビジョン2030ビジネスフォーラム」に日本代表企業として招待され、世界の水不足の解決に取り組んでいます。
2023年に、洗剤を使用せず、水ですすぐだけで汚れや細菌を落とす食器「meliordesign(メリオールデザイン)」を開発し、日経クロストレンド「マーケター・オブ・ザ・イヤー2023」優秀賞、2023年度省エネ大賞<製品・ビジネスモデル部門>にて「審査委員会特別賞」をそれぞれ受賞。
経済産業省J-Startup企業、日経ビジネス『世界を動かす日本人50』、ForbesJAPAN「ChatGPT後の日本の勝ち方10」などに選出されている。