海外での反響は?

ーーすでに海外の展示会などでそのシステムコンセプトを公表されていますが、どんな反応があったか教えてください。


2024年2月、スペインで行われた「4YearsFromNow2024」出展の様子

高野:ドイツ、スペイン、サウジアラビアで行われた展示会にそれぞれ出展しましたが(2024年3月時点)、みんな違う反応でした。

ドイツは、バイオガスにリユースできるという点が評価されました。ウクライナ紛争から、ロシアからの天然ガス輸入をやめたことで電気代が高騰しています。ロシアの資源に頼らない、新たなエネルギーの供給手段を探しています。フードロス問題を解決して、さらにクリーンエネルギーを生み出す手段にもなることが衝撃だったようです。

ーーエコシステムへの意識・関心が高い国らしい反応ですね。

高野:スペインは、バルセロナで水不足がとても深刻な問題です。だから、節水ができることが‟刺さった”ようです。スペインだけでなく、アメリカや、サウジでも水不足は本当に深刻です。水道代は高騰しているし、水を使えない時間や曜日が決まっているような国や地域が世界に多数あります。

4月にはイタリアの展示会に出展しますが、おそらく「窒素循環」に反響があるでしょう。残飯から肥料を作ることで窒素循環型農業に貢献できる点が解決策としてめちゃくちゃ‟刺さる”と予想しています。

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ーー日本ではあまり窒素をめぐる環境問題は取り沙汰されることはありません。

高野:窒素循環システムに応用できる点を、僕自身も「すごい」と感じていますが、日本では関心を持っている人はごくわずかですね。世界では窒素をめぐる環境問題はCO2の100倍は「ヤバい」と言われ、イタリアやオランダ、農業が盛んな国では循環型農業に切り替えることに関心が高まっています。

ーー複数の企業との連携が必要で、かつ治水事業や都市計画など国家レベルでの協力や連携が求められるプロジェクトのようですね。

高野:去年のクリスマスに経済産業省の齋藤大臣と一緒にサウジに行き、このシステムコンセプトを公表しました。DG TAKANOにとって、Bubble90、メリオールデザインはホップ・ステップ。循環システムはジャンプです。

このモデルをかたちにできるかは技術にかかっています。サウジでは、ある財閥と合弁会社を設立して国家事業としてプロジェクトを進める準備をはじめています。実証実験が成功したときに、世界に広めていけると思います。


サウジアラビア国立節水センターを訪問した高野さん

循環型農業とは

循環型農業は、従来の化学肥料や農薬などにだけ頼るのではなく、一般家庭や畜産業、工業などから出た本来ならば廃棄する物を肥料として活用し、資源を循環させ環境の負荷軽減を目指す農業のシステムです。

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