■難航する捜査
チャールズを容疑者だと睨んだ警察官は、ヴェロニカとブレンダの証言と所有する物件が遺体遺棄現場に近いことから、連続殺人容疑でチャールズを逮捕した。
チャールズは至って冷静で、全ての家を家宅捜索すると告げられても動揺しなかった。また、「娼婦など買ったこともない」と言い放った。
家宅捜索の結果は芳しくなかった。7、8丁の銃やナイフがあったが、殺人事件に使われた44口径ピストルは見つからなかった。銃弾や遺体の側に落ちていた空の袋と同じブランドのコンドームは見つかったが、これらは「チャールズが殺人犯」だという証拠にはならない。
犯人が戦利品として所持していると見られる被害者たちの眼球も、どこにもなかった。ホルマリン漬けにされた蛇などが棚にディスプレイされている中に、眼球のようなものもあったが、人間のものではなく豚の眼球だった。
警察もFBIも行き詰まっていたところ、ティーナ・コンリーという娼婦が「シャーリー・ウィリアムズが殺された夜、彼女と一緒に立ちんぼしていた。酷い雨で自分はもうこれ以上は立っていられいないと思い、羽織っていた黄色いレインコートをシャーリーに貸して道を渡った。振り返ると、シャーリーが白いピックアップトラックに乗るところだった」と証言。そして翌日、彼女は遺体となって発見されたのだ。
警察はシャーリーは発見現場とは別の場所で殺害されたと見ていた。ティーナは警察を「シャーリーが客を連れていく、お決まりの場所」へと連れて行った。そこは木がおおいしげる原っぱで、ティーナが貸したレインコートが見つかった。警察はレインコートに犯人の遺留品が残っていないか調べ、シャーリーの血、何本かの毛を発見した。そのうちの一つはリスの尾っぽの毛だった。
警官はチャールズの家やピックアップトラックから収拾した毛をしらみつぶしに調べ、リスの尾っぽの毛を発見。これがシャーリー殺しの証拠だと警察は起訴に踏み切った。
チャールズはシャーリー殺害の罪で逮捕、起訴された。無実を主張し、店子であるアクストンが犯人だとも言ったが、娼婦は口をそろえて「襲ったのはチャールズだ」と証言した。また「娼婦なんて買ったことがない」とも主張したが、家やピックアップトラックからは娼婦の陰毛がたくさん発見されており、チャールズは明らかに嘘をついていた。
チャールズは無実を主張したが、娼婦たちの証言もありシャーリーの殺人罪で有罪となり1991年12月18日、終身刑に処された。メアリーとスーザン殺しは証拠不十分のため起訴できなかったが、チャールズの仕業だと誰もが確信している。