ふりかけ市場は横ばい、丸美屋は23期連続増収
冒頭で紹介した、コロナ禍で“巣ごもり特需”が生じた一方、“手作り弁当需要減”なども影響した、ふりかけ市場の現状も聞いてみた。
「業界全体では2022年7月以降好調で、上半期の落ち込みを下半期でカバーし、年全体では横ばいでした。当社のふりかけは業界平均よりも上回り、前年比104%となっています」
コロナとの付き合いも4年目となり、繁華街や観光地には人流も戻ってきた。業績が回復基調となった企業がある一方、厳しい業績が続く企業も多いが、丸美屋食品は好調だ。
同社の2022年度売上高(総売上)は585億円と23年連続増収を記録した。
部門別では、“ふりかけ”が前年比104%、“中華”(麻婆豆腐の素など)が同100%、“釜めし”(釜めしの素など)が同106%、“お茶漬け”が115%となっています。唯一落ち込んだのが“キャラクター”で同88%でした」(広報担当)
ここでいう“キャラクター”とは、ふりかけやお茶漬けの容器・パッケージに記載されるキャラクター(タイアップ商品)のこと。一昨年は、ご存じ『鬼滅の刃』が爆発的人気を呼んだが、昨年はブームが一段落したのだ。
「めんどくさい」と向き合い、「ひと手間」意識に期待
企業現場を取材すると、現代の消費者は「めんどくさい」がキーワードの1つだと感じる。特に食品分野は顕著だ。働く女性も7割となり、社会全体が忙しくなったのもある。
個食化の流れもあるが、即席麺では袋麺よりもカップ麺の市場が大きく、即席カレー市場は、調査会社の調べでは、2017年にレトルトカレーの市場が、ルーカレー市場を抜いた。
「時短」もキーワードの1つだが、とはいえ、どんな時でも簡略化するわけではない。コロナ禍初年は「袋麺市場」も大幅拡大した。在宅勤務が増え、昼食などに袋入りのインスタントラーメンに、ひと手間かけて野菜などを入れてつくる人が増えたと考えられる。
「当社は簡単にごはんをおいしく食べられる商品が多いですが、合理的だけでもありません。ひと手間かけておにぎりを握るなど、つくられる方の愛情もあります。
でもみなさん忙しいので、メリハリをつけています。消費者調査で“おにぎり好き”な消費者モニターさんに聞くと、混ぜごはんの素ではなく、焼いた鮭や梅干しをおにぎりの具に入れるのは、土日などの休日だと話されます」(丸山さん)
商品訴求も、これまでの機能性から情緒性も意識したいと話す。たとえば「きもちがこもった、あたたかい毎日へ。」という文言を、今後は商品パッケージにも記載していくという。
「コメ離れ」が進むのは懸念材料だが、米食消費減の割に影響が少ない、ふりかけ市場。食品値上げが続き、消費生活が厳しくなるのは、丸美屋の商品には追い風となりそうだ。
(文=高井 尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
提供元・Business Journal
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