インドの成長が止まらない。2025年には名目GDPで日本を追い抜く見込みだ。その代償なのか、大量のゴミの廃棄がインドで深刻化している。
Invest Indiaのデータによると、インド都市部の住人1人が1日に出すゴミの量は2025年には0.7キロになる見込み。これは1999年と比較すると6倍以上の量だという。また、インド環境・森林・気候変動省の発表ではリサイクル可能な物も不可な物も含め、インドでは毎年6,200万トンの廃棄物が発生しているとのこと。
ゴミ問題は日本を含めすべての国が抱える課題だが、抜本的な解決策は見つかっていない。この難問をテクノロジーで打開しようと取り組むのが、本稿で紹介するRecykalだ。創業者でCEOのAbhay Deshpande氏に取材を行った。
テクノロジーでゴミ問題に取り組むRecykal
Recykalは、インド中南部の大都市ハイデラバードに本拠を置くスタートアップである。
Forbes Indiaの記事によると、同社の売り上げは2019年の1.8クロールルピー(約3,350万円)から2020年には21.2クロールルピー(約3.95億円)まで増加。Fortune誌の2023年版「Change the World」リストでは、MicrosoftやWalmart、Appleなどの世界的大企業とならんで27番目に選出された。2024年4月10日には、プレシリーズBで1300万ドルの資金調達を完了したことが複数の媒体で報じられている。
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Image Credits:Recykal
リサイクル可能な廃棄物の売買取引を効率化するアプリ「Recykal Marketplace」を運営し、ゴミの発生源である事業者、収集業者、リサイクル業者をオンラインで結び付けている。
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Image Credits:Recykal
リサイクル業界の抱える問題をアプリで解決
Recykalの創業者Abhay Deshpande氏は連続起業家だ。1998年にMalamall.comという民族衣装のオンラインマーケットを設立。2007年に設立したSaaS企業Martjackは、2015年にシンガポール拠点のCapillary Technologiesに売却している。
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Abhay Deshpande氏(Recykal提供)
――Recykalを設立した動機はなんでしょうか?
Abhay: 社会にも環境にも大きな影響を与えたいと考えました。インドの廃棄物管理は非効率的です。この分野で、テクノロジーを活用してより持続可能な仕組みを作り上げることが重要だと思いました。
インドに循環型経済を作り上げるため、若くて活動的な共同創業者のEkta Narain、Abhishek Deshpande、Vikram Prabakar、Anirudha Jalan、25人の従業員とともにRecykalを設立しました。
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Image Credits:Recykal
Abhay: リサイクルにおける課題と非効率性について認識できました。この業界には複数のステークホルダーが存在しますが、それぞれ直接自身と関わる情報しか持っていません。リサイクル工程の全体像を把握していなかったんです。
さらには、回収業者が資源を提供するリサイクル業者が1社または2社しかない場合、リサイクル業者の事業縮小によって回収業者にもすぐに影響が出ることがわかりました。コンプライアンス遵守もきちんと行われておらず、これはリサイクルのシステム化への大きな課題でした。
――そうした問題は解決されたのですか?
Abhay: 回収業者により良い市場へのアクセスと最良な市場価格をアプリで提供しました。数社のリサイクル業者にしかアクセスできなかった回収業者が、インド全土のリサイクル業者を検索できるようになったのです。
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Image Credits:Recykal
――回収業者は以前より多くの収益を得られるようになったのですか?
Abhay: はい、たとえばハイデラバード出身の35歳の回収業者Rajvardhanは、収益を大幅に向上させています。以前は知識が不足していたため、限られたカテゴリーのゴミしか扱っていませんでした。しかし、取り扱えるゴミのカテゴリーが増え、インド全国のリサイクル業者の検索ができるようになったことで、より多くのビジネスチャンスを得ています。
現在は、5000以上の回収業者がRecykal Marketplaceを活用しているんですよ。
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