食べ物は「再利用するもの」へ
食品ロス問題は、すなわちCO2排出問題でもある。
食料廃棄物は、従来の方法であれば焼却処分される。その際にCO2が発生し、地球温暖化の要因の一つになってしまうという流れだ。しかし、Entomal Biotechが実施している方法で食料廃棄物を処理すれば、「焼却によるCO2」など出る隙間もない。
上述の食料廃棄物1トンを幼虫が処理した場合、結果として2.4トンのCO2削減につながるとYanni氏は語る。これが数百トン分の食料廃棄物となると、削減されるCO2も膨大な量に上るだろう。
Entomal Biotechは2026年から2033年までに、1日100トンの食料廃棄物を処理できる施設をマレーシア国内に20カ所設ける計画を立てているとYanni氏は壇上で語った。これが実現した暁には、「食べ物は捨てるものではなく再利用するもの」という意識が市民に根付き、また企業間による食料廃棄物の争奪戦も発生するかもしれない。
バイオテクノロジー分野は、新時代に突入しようとしている。
参考:
Entomal Biotech Sdn. Bhd
消費者庁
(文・澤田 真一)