目次
3. 「小平市ふれあい下水道館」に行ってみた!
4. 2つの下水道館を比べてみると

3. 「小平市ふれあい下水道館」に行ってみた!

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

小平市ふれあい下水道館は、小平市上水本町にある下水道広報施設です。こちらも見学は無料で、予約も不要。アクセスは最寄駅の西武鉄道国分寺線「鷹の台」駅から徒歩7分です。

外観は2階建てに見える施設ですが、地下5階まで伸びている下に長〜い構造。そして地下5階は本物の下水道管に繋がっているんです......!

実はこの地下5階が、小平市ふれあい下水道館最大の特徴。なんと、下水道管の中に入ることができます。本物の下水道管に入って自由に体験ができる施設は、東京はおろか、日本でここだけ。職員の方のお話では、世界規模で見ても、本物の下水道管に入れるのはパリやオーストリアの下水道館くらいなんだとか。もはやアジアで唯一と言える、非常に珍しい場所です。

そんな小平市ふれあい下水道館が開館したのは、1995年。1990年度に小平市の下水道整備が完了したことを記念して設立されました。小平市には大きな川がないため、下水道整備が完了するまでは、大雨が降るたびに浸水被害に悩まされていたそうです。下水道整備は喫緊の課題として、1970年度から着手され、約20年間で完成。これは全国のなかでもかなり早いタイミングとのこと。課題感があったからこそ、早期から下水道整備に取り組んでいた先進的なエリアなんですね。

なぜ「ふれあい」なの?

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

「下水道」と「ふれあい」......? 東京都虹の下水道館の「虹」以上に、下水道とかけ離れた言葉のように感じてしまった人もいるかもしれません。

そのネーミングは、3,500件を超える公募のなかから選定されたものなんだそうです。館名にちなんだ「ふれあい体験室」というエリアも地下5階にあり、最大の特徴である下水道体験ができる場所となっています。ふれあいといっても、実際に下水を触るわけではありませんのでご安心ください。触れることはできないものの、日本で一番、「リアルな下水に近づくことができる施設」と言えるでしょう。

かわいい!美大生作の公式キャラクター

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

入口でなんともかわいらしい黒板ボードが目に留まりました。そこに書かれていたのは、うさ耳の妖精のようなキャラクター......? 実はこれが、小平市ふれあい下水道館の公式キャラクター、「ヒルガタワムちゃん」なんです。

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

ヒルガタワムちゃんは下水を綺麗にしてくれる微生物、ヒルガタワムシが由来。そのほかにも、下水処理で活躍する微生物をモチーフにした仲間のキャラクターがたくさんいます。

これらのキャラクターをデザインしたのは、近隣の武蔵野美術大学の美大生たち! 学芸員になるための実習で下水道館を訪れた際に、作ってくれたものなんだそうです。どうりで、どれもゆるくてかわいい雰囲気ながらも、うまく微生物がデフォルメされています。これらのキャラクターは館内のあちこちにいますので、ぜひ見つけに来てください。

いま何m?だんだん深くなる地底への階段

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

小平市ふれあい下水道館は、1階から地下1階、地下2階......と階段で降りながら展示室を見ていく順路。地下5階までつながる階段の吹き抜けには、復元した小平の地層が展示されています。地表から地底へと、だんだん変わっていく地層を横目に見て階段を降りれば、下に潜っていく実感が強くなり、なんだかワクワクしました!

ちなみに大昔、小平は海の底だったんだそう。当時の石や泥が埋まった貴重な地層も見ることができますよ。

とれたて! 生きた微生物を観察

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

下水を綺麗にするのは薬品や化学物質ではなく、天然の微生物ということを知っていましたか? 私はてっきり、薬品の力で綺麗にするものかと思っていました......。下水処理場では、私たちの想像以上に天然の微生物が大活躍しているんです(最終工程で塩素消毒する場合もあります)。

小平市ふれあい下水道館は、東京都虹の下水道館のように下水処理場が隣接しているわけではありません。しかし、施設内で本物の下水処理場のように微生物を活性化させ、下水を綺麗にしてもらう実験をおこなっています。

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

毎日職員の方が下水を汲んできて、微生物に食べさせることで、綺麗な処理水を作っているんだとか。ご苦労様です......!

地下1階の講座室では、顕微鏡の映像を大型スクリーンで写し、だれでも・いつでも、生きた微生物を観察することが可能です。運が良ければ、最強の生物として有名な「クマムシ」も見れるかも!

意外にも多い?映えスポットと豊富な展示

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

小平市ふれあい下水道館の特徴の1つともいえるのが、地上2階から地下5階まで、あわせて7階ぶんの豊富な展示です。下水のこと、下水処理のこと、小平市での下水の歴史はもちろん、江戸や海外の水環境の歴史や、上水のこと、トイレのことまで、「水」にまつわるさまざまな知識を総合的に学ぶことができます。

展示のなかには写真映えしそうなスポットも!

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

たとえば、便器に座って「市報 こだいら」を読む人の像や、江戸のお風呂文化を表したモニュメントなどがありました。展示のボリュームはたっぷりあるので、あなただけの映えスポットを見つけてみてください。

いよいよ本物の下水道管に潜入

ついに、地下5階の「ふれあい体験室」に到着。この施設の目玉だと分かっていても、下水道管に入るというのは人生で初めてなので、なんだか無性に緊張しました。

厳重なドアを2枚越えて、いざ潜入......!

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

おお......、本物の下水が流れている......!

においについては正直しっかり覚悟していたので、「思ったよりは」臭くなかったです。しかし想像以上だったのが湿気。もわもわとこもった生暖かい空気が立ち込めていて、5分以上いるのは難しいと思いました。ここでお仕事される下水道職員の方々には、本当に頭が上がりませんね......。綺麗ごとだけではない「リアル」を体感できる場所でした。

この下水道は汚水と雨水が一緒に流れる合流式です。つまり、雨の日は水量が増えるということ。地下5階の展示ではゲリラ豪雨の日の下水道管内の映像も見ることができます。上記の写真に映る手すりの位置も大きく超え、轟々と流れる水の映像に圧倒されました。分厚い扉があってよかった......。

小平市でももらえる! マンホールカード

【徹底比較】東京都虹の下水道館と小平市ふれあい下水道館に行ってきた!
(画像=『たびこふれ』より引用)

東京都虹の下水道館でもらえたマンホールカードですが、小平市ふれあい下水道館でも同様に、スタッフに声をかけることでもらうことができます。

こちらは「ヒルガタワムちゃん」とFC東京の公式キャラクター「東京ドロンパ」の特別デザイン。小平を代表するキャラクターが共演しているかわいらしいカードです。

小平市ふれあい下水道館の基本情報

  • 住所:東京都小平市上水本町1-25-31
  • 開館時間:午前10時~午後4時
  • 入館料:無料
  • 休館日:月曜(休日・祝日の場合は、その翌日)、年末年始(12月27日から1月5日まで)
  • アクセス:最寄駅の西武鉄道国分寺線「鷹の台」駅 徒歩7分
  • 駐車場:有(バス優先)
  • 電話番号:042-326-7411

4. 2つの下水道館を比べてみると

東京都にある2つの下水道館を見学してきました。改めて2つの下水道館の共通点や違いを見てみましょう。

東京都虹の下水道館小平市ふれあい下水道館
場所江東区小平市
入館料無料無料
施設規模1階ぶん7階ぶん
職業体験あり
(小学生のみ)
なし
微生物観察あり
(お仕事体験コンテンツの1つ)
あり
下水道管見学なしあり
下水処理場見学あり
(有明水再生センター)
なし
近隣の水道関連施設あり
(東京都水の科学館)
なし
マンホールカードの配布ありあり

どちらも無料で見学できて、下水処理の仕組みや微生物の働きなどを学べる共通点はある一方で、大きな違いは「どこにあるか」だと思います。江東区か小平市かという立地的な意味はもちろんですが、「下水処理過程のどの部分にあたるか」が異なるのです。

東京都虹の下水道館の場合は、下水処理場の真上にある施設です。だからこそ、有明水再生センターの見学もできて、だんだん綺麗になっていく水の過程を目の当たりにすることが可能です。一方、小平市ふれあい下水道館の場合は、近隣に下水処理場はありません。だからこそ、処理される前の下水が流れる下水道管の中に潜入して、リアルなにおいや湿度を体感することができました。

どちらの下水道館に行こうか迷ったときは、アクセスだけでなく、「下水処理過程のどこを見たいか」で選んでみるのもアリかもしれません!