3.頭内爆発音症候群
頭内爆発音症候群(exploding head syndrome、EHS)は寝入る直前や目覚めた直後に瞬間的な大音量の幻聴が発生する症状なのだが、決して軽視できない現実的で恐ろしい感覚障害であるという。
ゴールドスミス大学の研究者によると、EHSの特徴は「通常、深い睡眠に移行するとき、または深い睡眠から抜け出すときに、頭の中で大きな騒音や爆発の感覚を知覚すること」である。
音は文字通りの爆発音から銃声、さらには叫び声まで、あらゆるバリエーションに及ぶ可能性がある。
2年前の研究では、患者の44.4パーセントがこれらのエピソード中に重篤な恐怖を経験し、少数は超自然的な何かによって引き起こされたと信じていることが判明した。
同大学のクリス・フレンチ教授は「これまでの研究では、世界中のかなりの割合の人々が人生で少なくとも一度はEHSを経験することが示唆されている」と説明している。
「したがって『超自然的な何か』や『電子機器』の影響など、型破りな説明を選んだ体験者はほんのわずかですが、この現象はおそらく世界中の何百万人もの人々によってそのような言葉で説明されています。」(クリス・フレンチ教授)
心理学者のルイーズ・ゴダード・クローリー博士は「これらの幻覚は夢のようなもので、点滅する光、形、人が見えることから、声、音楽、その他の音を聞くことまで多岐にわたります」と説明する。人物を見ることがあるというが、それが“幽霊”であったと報告するケースもありそうだ。
「これらの幻覚の内容はさまざまで、時には奇妙なものであることもあります。それらは非常に現実的で没入型であるため、実際の認識と区別することが困難になります」(ルイーズ・ゴダード・クローリー博士)
謎が多いEHSだが、時には超常現象を体験させるものでもあるようだ。
4.一酸化炭素
一酸化炭素と超常現象との関連性は第二次世界大戦前から考えられてきた。
多くの場合、ガスや灯油などの燃料の燃焼、七輪の木炭や薪の暖炉や煙突の詰まりが原因で有毒な一酸化炭素が発生する。
1921年に「American Journal of Opthalmology」で発表された研究では“ミセス・H”として知られる女性のぞっとするような体験を詳しく紹介している。
ミセス・Hが新しい家に引っ越してから、彼女と家族は奇妙な声を聞くようになり、就寝中には何かに圧迫されているよう感覚に煩わされていたという。
脱力感と頭痛も伴うものであったが、調べてみたところ一酸化炭素中毒の結果であることが判明したのだ。
一酸化炭素は無味無臭であることから、たとえ低濃度であっても気づかずにある程度吸入してしまうと永続的な健康被害を引き起こす可能性がある。
ミセス・Hの場合、一酸化炭素は炉から出たもので、炉が修理されるとすぐに家族の症状は治まった。
さらに最近の研究では、一酸化炭素中毒によって一部の患者に精神疾患が引き起こされることも示されている。6週間以上一酸化炭素にさらされると、うつ病、不安症、さらには認知機能障害の発症率が高くなる可能性があるのだ。つまり一酸化炭素中毒によって幻覚や“幽霊”を見たとしてもおかしくないのである。