幽霊を見たことがあるだろうか。何らかの心霊現象を体験したことがあるという人はけっこういるかもしれないが、幽霊が科学的に説明できるケースが5つあるという――。
1.睡眠麻痺
目覚めているのに身体はまだ眠ったままで動かすことができない現象、いわゆる“金縛り”は真夜中に不意に目覚めた時や、朝になってこれから起床しようとする時に起こったりするが、睡眠麻痺(sleep paralysis)の症状では入眠時に起こることが多く、しかも幻覚を見やすいといわれている。
「入眠時幻覚」と呼ばれるこの現象では「人や動物がそばにいる、体に触れる」と感じたり、「体が空中に浮く」といったような鮮明で現実感のある幻覚を見る傾向があり、そのぶん“幽霊”を見やすい状態にあるといえる。
ヨーク大学の専門家ダン・デニス氏によると、体験される幻覚には3種類あるという。
●部屋の中に邪悪な存在がいる。
●インキュバス幻覚。胸の上に乗られ実際に胸が圧迫される感覚を伴う。
●浮遊体験。
睡眠麻痺は睡眠不足によって引き起こされる可能性があるため、やはり7~9時間のじゅうぶんな睡眠をとることが推奨されている。定期的な運動も効果があるが、就寝前の4時間以内の運動は効果がないということだ。
2.カビ
科学者たちは幽霊の目撃と空気の質の悪さとの関係に着目している。部屋の中の有毒なカビ胞子に長時間さらされると、気分の変動、不合理な怒り、さらには認知障害を引き起こす可能性があるというのだ。
最近の研究ではカビの影響は不安や恐怖の増大だけでなく、脳の炎症や記憶喪失の症状も明らかになっている。研究者らはこれらの特徴が超常現象を経験したと主張する人々と奇妙に似ていると主張し、部屋のカビと幽霊目撃に関連性がある可能性を示唆している。
ニューヨークのクラークソン大学のシェーン・ロジャース教授は「多くの心霊スポットで報告される体験は、有毒なカビにさらされた人が報告する精神的または神経学的症状に似ています」と説明する。
「一部の菌類の精神活性効果はよく知られていますが、屋内のカビなど他の菌類の影響についてはあまり研究されていません。アレルギーや喘息の症状、その他の生理学的影響は十分に確立されていますが、屋内のカビへの曝露が認知機能やその他の脳の機能に及ぼす影響については長い間議論がありました」(シェーン・ロジャース教授)
“出る”といわくつきの廃屋は確かにカビ臭そうである。とすれば“幽霊屋敷”はカビ臭さが重要な舞台装置なのかもしれない。