通報した社員への嫌がらせや不正な人事が横行

 山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。

「日本では歴史的に『讒言』『諫言』『戯言』という言葉の通り、権力者の側近が政敵や敵対関係にある貴族や武将を陥れることについて忌まわしく思う文化があります(鎌倉時代の梶原景時など)。現代でも、会社の不正を上司に指摘するも、その上司が面倒くさがり、また、こうした部下に対して『仕事もせずに』というアホな考えを持つようです。

 ドラマや映画では、ここから、信頼する同僚や尊敬している他の部署の先輩が応援して会社の不正を暴いて一件落着なのですが、現実ではそうはいきません。不正が会社の上層部が絡んでいることであったりすると、決算や株価対策のために何とか隠そうとするのが実態です。世間に知れ渡っていないだけで、通報した従業員に対する有形無形の嫌がらせ、不正な人事などが多くまかり通っています。本件も“騒がないようにする”ための嫌がらせの一環と考えられます。

 現在、こういった不正な人事は、20年前に成立した公益通報者保護法で規制されていますし、ほとんどの企業において『公益通報窓口』を設置することが義務付けられているので、無視はできないはずです。しかし、実際は『不正な人事に対する罰則』のようなものはなく、『公益通報を受けた企業の担当者が、人事や役員などに通報者の名前を教えたことに対する罰則』の程度であり、あまり防止策にはなっていません。

 それよりも、マスコミなどがこういったニュースをがんがんやることで、こういうふざけた会社を晒しあげることが大切です。また、私自身、この問題に20年近く関わっているのですが、経験からは『弁護士に通じて通報する』のがベストと考えています」

(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)

提供元・Business Journal

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