解雇が言い渡され即退出

 どの外資系投資銀行も解雇の面では社員にとってはシビアなようだ。

「一つの部署は各国の拠点にまたがっており、個人のパフォーマンスは東京だけでなくニューヨークやロンドンにいる複数のメンバーから評価される。そこで数字的な実績も加味されつつ『彼にはもう仕事を任せられない』と評価されれば解雇となる。解雇が言い渡されると、すぐに段ボールに私物を入れてオフィスを出なければならない。それすらも許されずに即退出を命令されて、私物は後日、自宅へ郵送されるケースもある」

「毎年、全社員のうちパフォーマンスの低い下位5~10%の人は自動的にクビになるので、クビは日常的な風景の一つとなっており、誰も驚きもしないし珍しいものではない」

「まず米国本社が『今期は世界でいくら売上・利益をあげる』と決め、それが各国法人→部署→個人に振り分けられる。業務にもよるが一人当たりの予算(目標数値)は数億円レベルになることはザラで、その期に数字ができていないと自分でもわかるし、上司から『あと半年でこの数字ができなければクビ』と明確に言われることもあるので、クビになるときはある程度、覚悟ができている」

「たとえばアベノミクスの頃は債券市場がまったく動かず、金融機関の間ではトレーディング部門を縮小する動きがみられたが、外資系の場合は人員を他部署へ異動するといったかたちではなく、当該部門の人員解雇という流れになるので、国の政策という外的要因によってクビになるというケースもある」