エギングで執念の1匹

ここまでコウイカとアカイカの山根さん、午後2時を回るとさすがに焦りを隠せなくなってきた。ここでお茶を飲み、少し休憩。深呼吸をして再びロッドを手に取る。

ボトムだけでなく中層も意識し、じっくり見せながら誘ってくる。そして……エギが足元まできたところで、「よっしゃ~」と還暦の雄叫びが響く。

イカダでのヤエン釣り&エギング二刀流で春のデカイカに挑戦【三重・宝成渡船】執念の1匹はキロクラス(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ジリジリ滑るドラグを押さえ、浮かせて取り込んだのはこちらもギリ1kgあるかな~ぐらいのメスのアオリイカだった。これまでこわばっていた山根さんの表情が、この日初めて緩んだ瞬間だった。

アジにサプライズゲスト

そして終盤にさしかかったころ、再びリアドラグ式のスピニングリールからドラグ音が響いた。だが結果から言うと、アジを襲った犯人はなんとハモ。そう、生きアジを泳がせている以上、イカ以外のフィッシュイーターも多くアタックしてくるのだ。

イカダでのヤエン釣り&エギング二刀流で春のデカイカに挑戦【三重・宝成渡船】ヤエン仕掛けにハモがヒット(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

だがこのハモ、イカダに上げてからがとにかく厄介だった。掛かったヤエンを外そうと、ローリングしまくってミチイトはグチャグチャ、ヤエンはひん曲がってしまい、おまけに外そうとした戸松さんの手はヌメリでヌルヌル。リリースは無理で、戸松家のおかずになるべく、血抜きの後にクーラーに収められることとなった。

そして午後5時半に迎えの船に乗り込み、この日の釣りは終了。この時期らしく数は出なかったが、2匹のキロクラスにまずは納得の釣果となった。

イカダでのヤエン釣り&エギング二刀流で春のデカイカに挑戦【三重・宝成渡船】釣果を前に記念撮影(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

迫間浦のアオリイカは5~6月にかけて最盛期を迎える。時期が進むほどヤエンの方が有利とも言われるが、エギングでも大型の可能性は十分。二刀流で記録にも記憶にも残る1匹を狙ってみてはいかがだろう。