島田の好プレーとは
なかなか攻撃の起点を作れない浦和において気を吐いたのが、最前線(1トップ)の島田だった。
かねてより密集地帯でのパスレシーブが得意で、相手最終ラインと中盤の間でボールを捌くことを厭わない同選手は、前半34分にここへ立つ。味方MF塩越のヘディングパスを受け取ると、右サイドを駆け上がったFW清家貴子へすかさずパスを送った。
島田のパスに反応し、相手最終ラインの背後を突いた清家のシュートはアウェイチームGK山下莉奈の好セーブに阻まれるも、浦和はこの攻撃でコーナーキックを獲得する。前半35分の塩越のコーナーキックに島田がヘディングで合わせ、このシュートがゴールマウスに吸い込まれた。
楠瀬監督「ご褒美が巡ってきた」
島田の先制ゴールにより落ち着きを取り戻した浦和は、後半もC大阪の速攻を浴びるも、石川璃音と岡村來佳の両DF(2センターバック)による懸命なカバーリングが実を結び無失点で切り抜ける。試合終盤にはMF遠藤優(右サイドバック)が敵陣ペナルティエリアでのドリブルからPKを獲得。清家がキッカーを務め、後半42分にこのチャンスを物にした。
浦和を率いる楠瀬監督はこの試合終了後の会見で、筆者の質問に回答。攻撃時の島田のポジショニングや、味方からのパスを引き出す動きなどを称えている。
ーお伺いしたいのは、島田選手に対する監督の評価です。この試合で浦和を救ったのは島田選手だと、私は感じています。先制ゴールが決まるコーナーキックの直前、清家選手に決定機が訪れましたが(前半34分)、このチャンスは相手最終ラインと中盤の間でボールを捌いた島田選手から生まれたものでしたね。これは島田選手が以前から取り組んできたプレーであり、その成果がこの試合でも表れたと思います。サイドに流れて攻撃の起点を作る動きも良かったですね。監督はどのように感じていらっしゃいますか。
「個の力では(チームメートのFW)菅澤優衣香ほどではないですし、清家ほどの身体能力や決定力があるわけではない。なでしこジャパン(日本女子代表)に割って入ることを考えると、もうひとつ自分らしいところ(武器)を作っていかなければなりませんが、今は彼女なりに藻掻きながらオフ・ザ・ボール(ボールが無いところでの動き出し)の部分、相手を撹乱する動きでチャンスを作ってくれています」
「個の力や身体能力に関してはこれから鍛えていきますし、こうした部分を今一緒に研究中です。(島田自身も)色々なことにアンテナをはり出してくれていますし、面白い動きをしてくれているんですよね。そこ(密集地帯でのパスレシーブやチャンスメーク)を見てくれる人たちもいます。こうした動きを続けていれば(得点という)ご褒美がある。今日はそれが(島田に)巡ってきたのかなと。島田には引き続き、こうした部分を伸ばしてもらいたいです」