ありのままの自分を表現できる手段
ーー英語をまさにツールとして、さまざまなことへの知見を深められたんですね。
室井:私は学習を続けるなかで「英語がありのままの自分を表現できる手段」だという気付きがありました。
たとえば内向的、コンサバティブ(保守的)、他人の目を気にするといったステレオタイプな日本人のイメージを、私自身は少し窮屈だと感じます。英語でのコミュニケーションやソサエティー(社会)に自分の本当の気持ちに結びつけて発言できる場所を見つけられました。
アメリカ文化に触れたときに、リベラルで、個人の考え方や表現を大切にしていると感じたし、自分の性格にあってるなと思ったんです。
もちろん今でも日本語の方が英語より圧倒的に自分を表現できますが、英語的な表現や、何かを口にしたときのリアクション……「どんどん言っていいんだよ」とでもいうような雰囲気が快適です。
留学先での室井さん
ーー話す言葉が、思考や個性にも影響するということですね。
室井:言語がパーソナリティーに結び付くという実感はあります。私は、1年間アメリカに留学して、コロナ禍に帰国して日本で就職したんです。
同時期に入社したメンバーによると、帰国したばかりで、服装や振る舞い、メールの文面からして「超アメリカンな人」だったそうです(笑)。最近は「日本人ぽくなった」らしく、意識していなくても生活環境や、その文化から影響を受けていることを実感します。
あまり意識していなかったんですが、アメリカにいるときは、自己肯定感が高かったことに気がついたんです。たとえば、外見や服装を「かわいい」「かわいくない」と誰かと比較する。日本では、そういうトピックが良いことも悪いことも話題になることがよくありますよね。
だから、自分が「ダサいんじゃないか?」「これでいいのだろうか」と不安になることがあるんです。アメリカにいる間は、何の疑問もなく「どんなルックスでもいい」と暮らしていました。そんな雰囲気が生きやすいなと思っています。
実力を証明するための目標
ーー室井さんがTOEIC L&Rだけでなく、TOEIC Speaking & Writing Tests(以下、TOEIC S&W)も受験されたきっかけを教えてください。
室井:仕事では、英語を使って、海外からの問い合わせ窓口となることや、英会話カフェ事業などを担当しています。バイリンガルとして、パフォーマンスで「これくらい喋れます」と示すことはできますが、資格や検定のようにわかりやすく実力を証明するものがなかったんです。
ちょうど2022年頃はコロナ禍も落ち着きだしたころ。時間が取れたこともあり、TOEIC Testsを受けて、実力を測ってみようと考えました。
英語の4技能、「リスニング」「リーディング」「スピーキング」「ライティング」のなかで、わたしが得意なものは「スピーキング」。次はおそらく「ライティング」で、「リスニング」「リーディング」はむしろ不得意。TOEIC L&Rのスコアが800点に届いたとしても「これだけ喋れます」とアピールしたときに、説得力に欠けると思いました。
TOEIC S&Wも受験して、IIBC AWARD OF EXCELLENCEを受賞できれば、わたしの「得意」が大きな武器になると考えました。実際に表彰していただいて、きちんとステップアップできたことを実感しています。
(前編・了)
IIBC AWARD OF EXCELLENCEを受賞した室井さんを「英語学習の成功者」だと感じた読者が多いかもしれません。しかし、自由に英語を使えるスキルを身につけた室井さんでも、ジレンマを感じることや、挫折してしまいそうなときがあるといいます。
続く後編では、TOEIC Testsでのスコアへの想いや、コーディネーターをつとめる「めぐる星天英会話カフェ」についてお話をうかがいました。後編の公開は5月6日(月)18:00です。