食品(全体の13.5%を占める、従来は13.4%)は2カ月連続で前月比横ばいだった(詳細は後述)。なお、コロナ禍で経済活動が停止した20年4月は1.4%上昇していた。
CPIコアは市場予想通り前月比0.4%上昇、市場予想と前月と一致した。これまでに続き、主に住宅関連が指数を支えた。
チャート:CPIの費目別寄与、前月比は引き続きガソリンなどエネルギーが押し下げたものの食品とその他が上昇を主導
(作成:My Big Apple NY)
食品とエネルギー以外を前月比でみると、これまで上昇してきた航空運賃と宿泊がそろってマイナスに転落した。新車も、2021年4月以来のマイナスに転じたほか、医療サービスも弱い。一方で、自動車保険と中古車は再加速。中古車は10カ月ぶりにプラスに転じた。コアCPIを押し上げてきた住宅関連は高止まりも、住宅が前月以下の伸びにとどまったほか帰属家賃が前月と同じ伸びにとどまるなど、家賃が再加速しつつ徐々にピークアウトの兆しがみえてきた。
家賃は新規契約分でマイナスが続くなか、通常1~2年契約という事情もあってサンプルに足元の動向は反映されづらかったが、当初の予想通り今年の春以降に減速を確認しそうだ。弱含みが顕著な中古車は、9カ月連続で低下した。エネルギー関連と食品・飲料以外で主要な項目の前月比は、以下の通り。
エネルギー関連と食品・飲料以外で主要な項目の前月比は、以下の通り。
(上昇費目)
・中古車 4.4%上昇し10ヵ月ぶりにプラス反転、前月は2.8%の低下 ・自動車保険 1.4%上昇し16カ月連続で上昇、前月は1.2%上昇 ・家賃 0.6%上昇しプラス圏を維持、前月は0.5%上昇
・娯楽 0.5%上昇し16カ月連続でプラス、前月は0.1%の上昇 ・帰属家賃 0.5%上昇しプラス圏を維持、前月は0.5%上昇 ・自動車メンテナンス/修繕 0.5%上昇し12カ月連続で上昇、前月は0.3%
・住宅 0.4%上昇しプラス圏を維持、前月は0.6%上昇 ・服飾 0.3%上昇し6カ月連続で上昇、前月は0.3%上昇 ・教育サービス 0.1%上昇しプラスのトレンドを維持、前月は0.3%の上昇
(横ばい、低下項目)
・宿泊 3.0%低下し5カ月ぶりにマイナス、前月は2.7%上昇 ・航空運賃 2.6%低下し3カ月ぶりにマイナス、前月は4.0%上昇 ・新車 0.2%低下し24カ月ぶりにマイナス、前月は0.4%上昇 ・医療サービス 0.1%低下し4カ月連続でマイナス、前月は0.5%の低下
CPIは前年同月比4.9%と、市場予想と前月の5.0%を下回り2021年5月以来の5%割れを迎えた。CPIコアは同5.6%と市場予想と前月と一致し、2021年12月以来の低水準を維持した。
チャート:CPIの前年比、費目別の寄与は住宅を軸にその他が大きい
(作成:My Big Apple NY)
――経済正常化により著しい上昇を遂げた費目の前年同月比を振り返ると、まだら模様でした。航空運賃が前月の17.7%上昇から一気にマイナス0.9%へ急降下し、17カ月ぶりの下落となり、新車(前月:6.1%→5.4%)、経済正常化の恩恵を受けた宿泊(前月:7.3%→3.3%)は前月以下に。しかし、自動車保険(前月:14.5%→14.5%)は加速し、中古車(前月:11.2%下落→6.6%下落)は6.6%の下落と6カ月連続でマイナスだったなかで最も小幅にとどまりました。
チャート:経済活動の再開で上振れが目立った費目、新車と中古車は鈍化も他は高止まり
(作成:My Big Apple NY)
CPIの13.5%を占める食品の前年同月比は、鳥インフルエンザによって急騰した卵が元の価格に戻るなかで、肉類・魚・卵(前月:4.3%→2.8%)を始め、シリアル・パン類(前月:13.6%→12.4%)や食費(前月:8.3%→7.1%)などがそろって鈍化しました。ただし、外食は賃金上昇圧力が高止まりするなか、前月の8.8%→8.6%と小幅鈍化にとどまっています。