目次
あの時代なら許された?!1~3km/Lの実燃費
世界初のGPSカーナビや、子牛十数頭分の本革などもバブリー!
あの時代なら許された?!1~3km/Lの実燃費
しかし20B搭載車のカタログ燃費は6.1km/L、しかも現在のWLTC燃費の前(JC08)のさらに前の大甘な10・15モード燃費ですから、仮にWLTC燃費で計測したら良くても3~4km/Lではないでしょうか。
実際、当時から実燃費はせいぜい2〜3km/L、ちょっと頑張って踏んだら1km/L台と言われており、「どこの重戦車だオイ!」と言いたくなる数値です(※)。
(※戦車の燃費はだいぶ燃費が良くなったと言われる陸上自衛隊最新の10式戦車でも340m/L程度と言われ、コスモどころではないのですが)
ユーノス コスモの燃料タンク容量は85Lなので、カタログ燃費通りなら518.5kmは走れるはずですが、実燃費では満タンでも170〜255km、頑張ってしまうと100km走るか怪しいという、もう笑うしかないスペックでした。
ただ、2000年頃に筆者の後輩が中古で買ったジープ・チェロキー(4リッター直6OHV)も実燃費は似たようなものでしたし、世の中がやたらエコだ低燃費だと騒ぐ前の実燃費なんて、「エコランして10km/Lなら優秀」という時代です。
だから現在の基準とはだいぶ異なるのですが、それでもユーノス コスモは2+2とは名ばかりで、「実質2人しか乗れないラグジュアリークーペなのにそれしか走らない贅沢なクルマ」ではありました。
世界初のGPSカーナビや、子牛十数頭分の本革などもバブリー!
もちろん、マツダがバブル期に「トヨタへ追いつく最後のチャンスだ!」と立ち上げた5チャンネル体制の一角、「ユーノス」ブランドのフラッグシップですから、単にパワフルな代わり燃費極悪のクルマなだけではありません。
13B/20BどちらのエンジンにもポテンザRE71を履くスポーティな「タイプS」と、同じBSでもレグノを履くラグジュアリーな「タイプE」がラインナップされ、後者の内装は豪華絢爛。
シートやドアトリムなど、手を触れる部分にはオーストリアのシュミットフェルドバッハ社が手掛けた、子牛十数頭分と言われる最高級の牛革や、フランスはリヨン産の楡(にれ)材を使って、イタリアのミラノで工房の職人が仕上げた本木目パネルを採用。
「合皮」でも「木目調」でもない、本物の高級車用素材がふんだんに使われており、「マツダ」ではなく「ユーノス」ブランドだから許された本物の贅沢ですが、これがW12エンジンを積む幻のマツダ最高級車「アマティ1000」なら、さらに上を行ったのでしょう。
そして贅沢装備がもうひとつ、CCS(Car Communication System)と呼ばれる世界初のGPSカーナビを「20BタイプE CCS」へ標準装備していましたが、通常のタイプEとは65万円もの価格差がある超高価なシステムでした。
現在のカーナビに比べれば解像度も低くて機能も限られましたが、当時は衛星からの電波で自分の位置がわかるというだけで凄まじく便利な装備で、1990年代後半の後付カーナビでもまだ20~30万円はしましたから、1990年の世界初装備としてはむしろ安かったかも?
もちろん今ならスマホのカーナビ機能の方がよほど高度にいろいろな事ができますが、30年以上前ではインターネットも普及していませんから、SFじみた装備だったのです。