高速での直進性は◎だが
高速道路ではACCの進化を感じる。ウインカーを出して先行車の追い越しをしようとしたとき、思ったタイミングで加速が始まる。だからシステムへのイラつきはなく、人間の操作に近いことで利用頻度も上がるし、安心感も出てくる。
e:HEVのドライブモードではノーマルがいい。というのは、追い越し加速など一定車速運転からのアクセルの踏み込みに対してモーターのレスポンスがその威力を発揮する。逆にスポーツモードでは加速までワンテンポ遅れる傾向がある。

これはスポーツモードの設定しきい値が高速道路の想定というより、ワインディングにしてあるからだ。峠道ではアクセルのオン・オフが頻繁であり、その動きにレスポンスよく反応できるようにプログラムされている。言い換えれば高速道路をスポーツモードで走行すると燃費が悪くなり、一定車速運転には適さないことがわかる。
また高速走行では直進性が高く疲れない。ACCを稼働させているとほぼステアリングを操作する必要がなく、真っ直ぐ走行する。そのためステアリングを握っていてもステア操作のアラートが点灯することがしばしば。ここはトルク判定タイプではなく静電式に変更を望みたい。直進性の良さが際立つだけにアラートは不快だ。
個性的なデザインと高い実用性
エクステリアデザインは、見た通り個性的。ウエストラインから下の部分にボリュームを持たせ、キャビンに向かって絞っていくデザインはワイドトレッド感が強調され、どっしり感が伝わる。ルーフラインもSUVの四角っぽさはなくリヤエンドはかなりの傾斜でハッチバックスタイルになっている。そしてバーチカルフィンでデザインされたフロントグリルと細い目つきは欧州車を思わせる強い個性的な顔になっている。

そしてサイドパネルには光を使った空間演出を狙っているというように、ボディへの写り込みでその魅力を強調する。さらにボディカラーにも工夫があり、見る角度によって単色でありながら濃淡により多彩な表情を見せる技も入っていた。
インテリアでは水平基調にして車両の傾きをわかりやすくするというSUVらしいコンセプトがある。ナビモニターは若干手前に感じ、視線移動が少し大きく感じる。もっともタッチパネルを考えると大きく手を伸ばさなくても操作できるため、操作性は良いと言えるが、個人的にはHUDがあってもいいと感じたが。

そしてシフトレバーはe:HEVはボタン式を採取し、試乗車の内装色がエンジ色のためか、全体的に高級感を得る。スイッチ類やエアコン吹き出し口などはシビックに通ずるものがあり、ダイヤル式にはクリック感がある手応えで上質感の演出も上手い。
ラゲージは実用性を重視した工夫があった。フロアとリヤゲートエンドに段差がなく重量物などを積むときにありがたい。また出し入れで傷がどうしても着くが波型デザインを入れることで傷が目立ちにくくする工夫がある。これはリヤゲートを閉めた時のリヤゲート内張りにも同じデザインが採用されていた。


容量ではゴルフのキャディバッグ3本が真横に搭載できる大きさがある。ドライバーなどの長尺クラブが入ったままでも搭載できるサイズで、このサイズのクルマでは唯一かもしれない。そしてリヤシートは6:4の分割式でフルフラットになる。
こうした実用性をアピールするために使い方の参考として車中泊での快適性や26インチのロードバイクが二台車内に積み込めることなどもアピールしており、高いユーティリティがあることがわかる。

このように、グランドコンセプトの異彩解放は感じられ、プラスして爽快な走り、快適な走りも大きな魅力を持つSUVである。価格は試乗車のe:HEV 4WDがトップグレードの「Z」で411万9500円(税込)、ガソリンモデルも同じくトップグレードの「Z」で376万8600円となっている。
提供・AUTO PROVE
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