■ 相手の会社はまさかの「ゴールドマン・サックス社」 それはさすがに無理がある
次に「このサイトに利用規約はあるのか?」聞くと、都合が悪いのか「このプラットフォームは報酬計算のためだけに使用されており、他の目的では使用されませんので、ご安心ください」と早くもはぐらかされました。金銭のやり取りをしているわけですから、相手の正体が不透明なまま取引を行うことは絶対にあってはいけません。
そこで会社名についてたずねると、相手があげたのはなんと「ゴールドマン・サックス社」。同社はアメリカ合衆国を本拠地に置く、世界最大手の金融機関として知られている企業です。それはさすがに無理があるだろう……。
ここでついに「詐欺ではないか?」問い詰めると、「チャットの記録は法務部がリアルタイムで監視している」「会社を誹謗するなら、あなたの口座を起訴し、凍結する権利がある」と、脅しとも取れるようなメッセージを送信してきました。
そこで、いよいよ身分を明かし、ついでに「ゴールドマン・サックス社は電子メール以外でやり取りを行っていない」こと(ゴールドマン・サックス社のHP参照)を告げると、そこから既読が付かなくなり、連絡が途絶えてしまいました。
■ 今回の事例は「タスク詐欺」と呼ばれる悪質かつ巧妙な手法
以上が今回の潜入の一部始終となります。読んでいる途中で気付いた方もいるかもしれませんが、今回の事例は「タスク詐欺」と呼ばれるもので、過去にも多くの方が騙された手口。調べればその情報はさまざまな媒体でも紹介されています。
このままやり取りを続けることで、銀行口座の情報を盗み取られるだけでなく、「金銭を引き出すには手数料が必要」「高報酬タスクを受けるには振り込みが必要」などとあの手この手で金銭を要求してくるのです。
もちろん、ただ振り込むだけなら誰もが怪しむところでしょうが、今回のやり取りにも登場した「資金管理サイト」上では、お金が増え続けているので「損はしない」と錯覚させられるのです。そのため、多くの方が騙されてしまうのでしょう。
しかし、前述の通り、金融サイトであるにも関わらず、利用規約や運営会社の記載がないということはまずあり得ません。さらに、登録時にメールアドレスや電話番号認証といった個人情報の登録もありませんでした。
また、このサイト上の数字が管理者の一存で簡単に操作できてしまうのは、上記やり取りでも証明されています。一見すると本物の資金管理サイトのように見えますが、表面的な情報だけを見て、身元のはっきりしない人物を信用することなど絶対にあってはいけません。
こうした詐欺に引っかからないために、うまい話には必ず裏がある、という考えを念頭に置いておくことはもちろんのこと、判断に迷う時は誰かに相談する、同様の事例がないかネットで調べてみる、といった自己防衛を行うことで騙される確率はグッと低くなります。決して自分の判断だけで話を進めないようにしましょう。相手はこうした隙を狙ってくるのです。
なお今回は、検索しても簡単には見つけられないことを確認した上で「KORCOIN」の名前をあえてそのまま掲載しています。被害に遭いそうになっている方が、この記事を見つけやすくするためです。よって、いたずらに探し出して、見に行くことだけはしないでください。
<参考>
ゴールドマン・サックス社HP「Security & Fraud Awareness(セキュリティと詐欺に対する意識)」
(山口弘剛)
提供元・おたくま経済新聞
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