SNSを利用している方であれば、おそらくほとんどの方が「もふもふ動画」や「最多情報局」といったアカウントを一度は見たことがあるでしょう。

面白動画やかわいいペットの写真などの投稿で、多くのフォロワーを集めていますが、実はその大半が無断転載によるもの。転載を知らされていない元の投稿主らから、問題視されています。

■ 「削除依頼はDMまで」とあるものの、要請に応じず

投稿を見てみると、完全に無断転載しているものと、Xの動画引用方法(URLの末尾に「video/1」を付ける方法)を使用した、“仕様の範囲内”で引用しているものの2パターンがあります。

「もふもふ動画」はただの無断転載アカウントではない?その正体に迫る<前編>
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

しかしながら後者の“仕様”を使った場合でも、投稿者(動画や写真の権利者)が嫌だといえばそれまで。投稿者には著作権および著作者人格権があり、Xにポストしたからといって権利を手放したわけではありません。

これは利用規約の概要にも「ユーザーは、ポストまたは共有する自身のコンテンツに対する所有権と権利を留保する」とハッキリ記されており、元の投稿者の権利をXも認めています。

ちなみに「留保」は「保留」というニュアンスも含まれることから、留保だから「権利を保留する(行使しない)」じゃないの?と思うかもしれませんが、留保には「保持する」という意味もあります。現に英語版のこの箇所は「You retain ownership(所有権はあなたにある)」とわかりやすく記されています。

また、Xは利用規約の概要で「本サービスのご利用はご自身の責任において行ってください」と記しており、Xを利用した結果は全て“自己責任”。仕様を使っているからといって、それを理由に全てから逃れられるわけではないのです。

加えて、もふもふ動画のポストの中には引用元自体が転載である場合が散見されます。一般ユーザーが引用元の場合ももちろんありますが、ざっと見たところ「似たような転載アカウント」からの引用が目立ち、権利を曖昧にする工作の可能性さえ疑われます。

「もふもふ動画」はただの無断転載アカウントではない?その正体に迫る<前編>
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

それに、ただの引用だとしても、転載に転載をかさねたものを引用元とするのは、正しい使い方とは言えません。このような不誠実な運用では問題視されても当然です。

■ 被害者は泣く泣く自身の投稿を削除するという手段で引用を阻止

そんな無断転載アカウントについて、おたくま経済新聞に相談を寄せたのは、3万フォロワーを持つ人気の猫アカウント「おもち」さん。

話によると「もふもふ動画」に過去の投稿を、Xの引用を使って使用されており、削除依頼にも応じてもらえないのだそう。プロフィール欄に「削除依頼はDMまで」と記しているのにです。形だけの掲載ということなのでしょう。

なお、もふもふ動画に引用された投稿は18万件ものいいねが付き、表示回数は500万回以上。

いくらXの仕様を使った引用であったとしても、正体不明の怪しいアカウントに自身の愛する猫たちが勝手に使われてしまうのを飼い主が嫌うのは当然です。そこでおもちさんは、泣く泣く自身の投稿を削除するという手段で引用を阻止したとのことでした。