ヒトをヒトたらしてめている特性の1つが道具の使用である。我々の祖先は遥か昔から各種の道具を作り、使ってきたのだが、歴史系メディア「Ancient Origins」がその中でもきわめて興味深い古代の遺物を紹介している。
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■トールハンマー(西暦900年:デンマーク)
北欧神話に登場する神、トールの持つ武器である雷鎚(いかづち)の英語名がトールハンマー(Thor’s Hammer)である。
10世紀のヴァイキングたちにお守りとして携行されており、今までに1000個以上が見つかっている。
形状にはさまざまなバリエーションがあるのだが、文字情報が残されていないので、個々のお守りが確実にトールハンマーであるのかどうは微妙な側面もあるという。
しかし今年初め、デンマークのロラン島コベレフで同様のペンダントが発見され、そこには「これはハンマーである」というルーン文字が刻まれていた。青銅で鋳造され、おそらく銀、錫、金でメッキされたこの1100年前のペンダントは、トールの神話がヴァイキングの装飾品に深い影響を与えたことを示している。
北欧神話によれば、トールは雷、稲妻、嵐、樫の木、強さ、人類の保護、神聖化、治癒、豊饒に関連するハンマーを振り回す神である。トールは、ローマによるゲルマニア地域の占領から、移民時代の部族拡大、バイキング時代に獲得した人気に至るまで、ゲルマン民族の有史以来、何度となく言及される神である。スカンジナビアのキリスト教化以降、トールハンマーはカウンターカルチャーの意味合いを帯びたことでさらに人気を博しているということだ。