2023年4月17~19日の3日間、東京ビッグサイトにて「ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ2024」が開催された。同展は研究開発、マーケティング・セールス、デジタルヘルス、製造、ベンチャー/スタートアップの5つのゾーンで構成され、過去最大となる98社が国内外から参加、およそ300の製品・技術が展示された。

スタートアップゾーンに配置されていたフィンランド企業Monidorは、点滴管理デバイス・システム「Monidrop」を出展。正確な点滴注入速度によって全体的なケアの品質向上およびワークフロー効率化、コスト削減をも実現するソリューションだ。

Image Credits:Monidor

Monidor社の同ソリューションについて、事業開発マネージャーのケラネン陽子氏に話をうかがった。

点滴進捗を遠隔で確認、看護師の負担を大幅軽減

Monidor社ブースで製品を紹介していたケラネン陽子さん

――Monidropは点滴をモニタリングできる製品ということでしょうか。
ケラネン:はい、最初にまず輸液モニターで設定します。たとえば点滴の量どれだけなのか。500ミリリットルであれば投入時間は30分なのか2時間または5時間なのか。どのくらいかけて落とすかという指示が医師から出されるんですね。ところが点滴はなかなか調整が難しいんです。

流量…しずくの落ちる速さの調整がなかなか難しいんですが、Monidropは数値を入力すると画面に表示されます。それに合わせてこの「クレンメ」(注入チューブに付いている車輪のような部品。クランプとも言う)で調節します。クレンメを回すと落ちる速度が速くなったり遅くなったりする。これを使って調節するんですね。

Image Credits:Monidor

――数値入力で設定したあとで、最終的な速度調整はそのクレンメで行うんですね。
ケラネン:はい、輸液ポンプのほうは自動ですが、クレンメを使う自然落下式輸液セットのモニタリングシステムになります。ただ、こうして速度を調節しても、患者さんが動くと点滴が止まったりするんです。それにすぐには気が付かないこともありますが、Monidropがあれば「停止した」とか「速度が上昇・低下した」という情報がIVスクリーンアプリに表示されます。通常であれば看護師さんが見に行って初めて気がつくところを、遠隔で把握できるという利点があります。

――患者本人は点滴が止まったなどの事態に気づけないものですか?
ケラネン:患者さんは眠っていないとダメですから(笑)。基本的に、点滴が止まってしまった・速度が速すぎる・電池が切れたという3つの問題は音が鳴ります。それ以外については、あまりピーピー鳴っても患者さんが眠れなくなってしまうので、遠隔でモニタリングしている看護師さんに通知がいくという仕組みです。

点滴のデータはWi-Fiでクラウドに保管されるので、世界中どこにいても確認できます。たとえば今、「ヘルシンキ大学病院の外科病棟101号室にいる患者さんの点滴が見たい」という場合にも、リアルタイムで把握できるんです。