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唯一、「本来あるべき形」で発売されたトヨタの天才タマゴ
現代によみがえりかけたが、お蔵入りになった2ストエンジン
唯一、「本来あるべき形」で発売されたトヨタの天才タマゴ
過去にMOBYの【推し車】として紹介した記事の中から、反響の高かった車種をリメイクして紹介する【推し車リバイバル】、今回はトヨタの初代エスティマです。
スーパーチャージャー強制掃気2ストローク高性能エンジン「S2」を床下に搭載した、画期的なミニバンとして開発されたものの、S2エンジンのお蔵入りで積んだ代替エンジンのアンダーパワーや振動/騒音問題に終始悩まされ、2代目以降はFF化したエスティマ。
しかしコンセプト時代は現代でも通用するものであり、性能と価格のバランスが取れつつあるBEVとしての復活が待たれています。
「本来あるべき形」としては最初で最後のモデルになった初代エスティマとは、どんなクルマだったのでしょうか?
現代によみがえりかけたが、お蔵入りになった2ストエンジン
初代エスティマを語るうえで欠かせない「S2」エンジンですが、2ストロークエンジン自体は日本の4輪車でも戦後には軽自動車から1リッター未満の小型車まで広く使われており、もっとも熱心なスズキなど、最後はジムニー専用エンジンとして1987年まで使いました。
ただ、排ガス規制など近代的な自動車に求められる環境対策には限界があり、一般的には「4輪用としては1970年代まで、せいぜい1980年代はじめまでのエンジン」とされており、市販車では終始一切使わなかったメーカーもあります。
しかし、その「一切2ストを市販車に使わなかった」メーカーのひとつ、トヨタでは1980年代に新たな2ストロークエンジンを実用化寸前まで開発しており、それがS2エンジンでした。
単純に高効率エンジンとして考えた場合、クランクシャフトが2回転する間に1回爆発燃焼させる4ストロークと異なり、1回転で1回爆発燃焼する2ストロークは魅力的で、マツダ以外のほとんどがロータリーエンジンを実用化をあきらめた後ならなおさら。
そのため自動車メーカーやエンジンメーカーでは、現在までさまざまな形で2ストロークエンジンの研究開発を続けているケースが多く、トヨタも4ストロークエンジンをベースにした、スーパーチャージャー強制掃気・直噴DOHC2ストエンジンを開発したわけです。
これなら小型軽量コンパクト、アメリカで流行り始めたミニバンの床下に積めるサイズでも十分な出力を発揮する…ということで開発されたのが、アンダーフロアミッドシップレイアウトを採用し、その上のキャビン容積を最大化した「エスティマ」でした。