貯蓄が多い人には共通点がある。それは年収の多寡によるものではない。

元銀行員として多くの人の資産相談にのってきた筆者は、年収が低くても貯蓄が多い人がいることを知っている。

今回は、年収が低くても貯蓄が多い人の特徴や共通点を紹介する。年間100万円をコツコツとためる貯蓄上手な人が実践している、お金が貯まる家計の黄金比率も解説するので、ぜひ参考にしてほしい。

貯蓄が多い人の特徴1:固定費を節約できている

貯蓄が多い人は、毎月もしくは毎年一定料金がかかる通信費や保険料、税金などの固定費を減らした費用を節約し、貯蓄に回している。

例えばWi-Fiや光回線などは、サービス内容はほとんど同じでも、会社によって料金が異なる。

重要なのは、複数社比較して選ぶことだ。 めんどくさがって1社しかみず「なんとなくよさそうだから」という理由で決めてしまうのは節約の観点で早計といえる。

月間1,000円程度、年間1万円であっても、貯蓄や投資にまわせば生涯で数百万円の差がつくかもしれない。

貯蓄が多い人の特徴2:先取り貯金をしている

「先取り貯金の重要性」これはパーキンソンの法則からも説明できる。パーキンソンの法則とは「人は時間やお金といったあらゆる資源を、あればあるだけ使ってしまう」というものだ。

貯蓄ができない人は口座にお金があると、「使っても大丈夫」という心理が働き使ってしまう。一方、貯蓄が多い人は、使うことより、貯めることが最優先だ。

「貯蓄用に別の金融機関で口座を開設する」「定期積立口座を開設して毎月積み立てる」といった方法で先取り貯金を実践している。

貯蓄が多い人の特徴3:支出のコントロールができる

貯蓄が多い人は、毎月どれだけ支出があるのか「自分の相場感」を把握し、その枠から大きく外れることがないように 生活している。逆に、貯蓄ができない人は支出がいくらなのか把握していないことが多い。

貯金がたまらないと感じている人は、まずは月々の支出を知ることが大切だ。家計簿をつけるのがめんどくさいなら、「銀行アプリの入出金履歴を週・月単位でチェックする」だけで十分だ。

お金が貯まる家計の黄金比率は?

家計管理の黄金比率はいろいろ提唱されているが、「50(生活必需品):30(娯楽):20(貯金)」の黄金比率が有名だ。しかし現代の考えでは、貯金20%のうち10%は投資に回すのが定着しつつある。特に2024年から限度額が拡大され、期間が無期限となった新NISAが始まったこともあり、投資を始める人が増えた印象だ。

例えば、手取りが40万円の人の場合、20万円を家賃・光熱費・食費などを生活必需品に使い、12万円は被服代・美容代・交際費などに、残りの8万円のうち4万円を貯金で4万円を投資するイメージだ。4万円を新NISA(つみたて投資枠)で20年間積み立てすると、利益は約507万円、資産額は約1,467万円にもなる。

銀行預金は元本割れのリスクはないが、金利は微々たるもの。また、インフレによりお金の価値が下がる可能性もある。そのため、元本割れのリスクは排除できないものの、資産が増える可能性がある投資をすることは、今の時代、実はお金を守る方法でもあるのだ。

お金を大切に使って無駄遣いを控えよう

年収が低くても貯蓄が多い人は、お金を大切に使い、無駄遣いがないような工夫をしている。例えば、Wi-Fiや光回線のようにどの会社を使ってもサービス内容が大きく変わらないのであれば、低料金で利用できるサービスを使った方が節約しやすい。また、貯蓄を増やしたいのであれば、先に貯蓄する分をよけてしまう「先取り貯蓄」がおすすめだ。貯金だけではなく、新NISAのつみたて投資枠を活用して投資信託の運用をするのもいいだろう。物価上昇や電気料金の高騰など、家計をひっ迫させることが多い昨今だが、貯蓄が多い人の特徴を参考にして貯蓄を増やしてみてほしい。

文・勝目麻希(ファイナンシャル・プランナー)
新卒で総合職としてメガバンクに入行し、法人融資・金融商品販売等を担当。自分の金融知識や実務経験を活かしたいと独学でライターの道へ。現在はファイナンシャル・プランナーの知識を活かして金融系メディアを中心に執筆。