超高速凍結機で海外輸送の課題を解決

 アサヒコが最初の輸出国に選んだのはシンガポール。日本食が人気なことに加え、高齢化により健康志向が進んでいること、共働きが増加して食品の簡便性が求められていることが理由だという。そして、日本に旅行したときに食べた日本食がおいしくて、帰国後も食べたいものの入手できないという現地の声もあったとか。

豆腐の市場縮小続くなかで大ヒットの「豆腐バー」、日本食人気に乗り海外進出
(画像=『Business Journal』より 引用)

 まず、「豆腐バー 旨み昆布」1商品のみを展開し、海外でどう評価されるのか調査する。その後、具材が入った総菜バーを追加販売する方針だ。今年12月には、具材入り生産ラインでの「ハラル認証」を取得することで、販売領域の拡大を目指す。

 しかし、最初の商品がなぜ、旨み昆布なのか。池田代表はこう語る。

「2024年は和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて10周年。『うま味を上手に使うことで動物性油脂の少ない食生活を実現する』という和食の定義を満たした豆腐バーを選んだ。26年には販売領域をアジア圏まで拡大、27年以降には欧米へと拡大し、プラントベース系食品の売上における海外構成比を30%に伸長することを目指す」

豆腐の市場縮小続くなかで大ヒットの「豆腐バー」、日本食人気に乗り海外進出
(画像=池田未央代表取締役、『Business Journal』より 引用)

 海外輸出にあたっては、賞味期限と輸送段階での品質劣化が課題だった。豆腐は90%以上が水分であるため、そのまま通常のスピードで凍らせると、高野豆腐のようなスポンジ状になってしまう。これを解決したのは、厨房機器を設計から開発まで行うベンチャーのゼロカラの超高速凍結技術。この技術を活用して、マイナス35℃での急速凍結が可能になり、日本で販売されているおいしさや食感をそのまま現地に運べるようになった。

 なお、現地での販売は、K&Kのブランドで有名な国分グループと提携している。現在の円安も追い風であり、現地の消費者には比較的安価で販売することができる。