■難しい「有機酪農」に挑戦

なぜ畑違いの化学メーカーが… カネカが北海道別海町で有機酪農に挑戦する理由
(画像=『Sirabee』より引用)

カネカは、2018年、酪農王国・北海道の東部に位置する別海町に、地元の酪農企業と合弁で別海ウェルネスファームを設立。日本ではまだ極めて珍しい有機酪農による有機乳製品の製造・販売を行うためだ。

オーガニック/有機といった言葉は今やかなり身近。専門店のほか、スーパーマーケットでもPOPや売り場が目立つ。

じつは野菜などは有機栽培が比較的広く普及しているが、飼料の多くを輸入に頼る酪農では非常に難しい。私たちが飲んでいる牛乳の自給率はほぼ100%だが、飼料の自給率を考慮した牛乳・乳製品の自給率は約26%(農林水産省/2020年)。

輸入される飼料は、有機栽培どころかその大半が遺伝子組換え作物だ。有機酪農を行うためには、まず、穀物・牧草などの飼料を有機栽培で作るところから始める必要がある

■牛が自由に歩き回る牛舎と放牧地

なぜ畑違いの化学メーカーが… カネカが北海道別海町で有機酪農に挑戦する理由
(画像=『Sirabee』より引用)

別海ウェルネスファームでは、搾乳ができる母牛約70頭を含めて120頭ほどの牛を飼育している。

国内の酪農では、狭い牛舎でも効率的な生産が可能な「繋ぎ飼い」が一般的だが、別海ウェルネスファームでは牛たちが自由に歩き回れるフリーストール牛舎を採用。さらに、放牧地との移動もいつでも自由だ。

ストレスが少ないせいか、牛たちはかなりフレンドリー。見慣れない取材陣が集まっても人懐っこく近づいてくる。

なぜ畑違いの化学メーカーが… カネカが北海道別海町で有機酪農に挑戦する理由
(画像=『Sirabee』より引用)

インドア派・アウトドア派の牛がいるそうで、外を歩いて地面から牧草を食べたい牛は放牧地へ。刈り取って乳酸発酵させた牧草や穀物を食べたいときは牛舎へ。体にブラシをかけたいときも、牛が自ら行っている