■「意図的に変色された」可能性が大

前出のように、百円玉の組成は75%が銅の白銅で、錆びにくい合金である。

こちらを踏まえ、担当者は「そのため、何らかの形(酸化性の気体が多い環境など)で銅を含む硬貨の成分が腐食を起こし、その後に乾燥し、腐食して表面に付着した銅成分が酸化され、酸化銅として銅色を呈した…というケースが考えられるかもしれません」と分析。

「銅を含む液体の状態で表面に付着した腐食物が硬貨のニッケル成分で還元され、表面に沈着した状態となる現象が起きた可能性もあります(セメンテーション反応と呼ばれ、イオン化傾向の差によって発生)。その後、乾燥してこうした状態になったのかもしれません」とも推測している。

また、十円玉と百円玉を同じ酸に入れて洗浄しようとした際に、十円玉から溶けた銅が百円玉の表面に沈着(前出のセメンテーション反応)して変色した可能性もあるそうだ。

一見普通の10円玉、とんでもない正体にギョッとした 完璧すぎる「擬態」にネット民驚愕
(画像=『Sirabee』より引用)

様々なケースが考えられるため原因の特定はできかねるが、「自然に置いてある状態でこうした反応が起きるかというと、なかなか難しいかもしれません」とのこと。やはり件の百円玉の状態は、以前の持ち主が意図的に化学反応を起こした結果、と考えるのが妥当だろう。

キャッシュレスが主流となりつつある昨今だが、今回のような「硬貨の擬態」にはくれぐれも気をつけたい。また、貨幣の損傷は「貨幣損傷等取締法」に違反する行為であることを明記しておく。