■ニッケルのプロも思わずドン引き

造幣局公式サイトの情報によると、百円玉の素材は「白銅」で、銅(75%)とニッケル(25%)で構成されていると判明。十円玉は95%の銅と数%の亜鉛、すずでできており、両硬貨の大きな違いは「ニッケルを含むか」という点である。

ニッケルは天然に存在し、光沢のある銀白色をした金属元素。地球上で5番目に豊富な元素で、多くの地域で地殻から産出するが、その殆どは地球の中心部の、我われ人間の手が届かない場所にあるという。そして、腐食と酸化に対する耐性を持っていたり、合金化が容易といった様々な特徴を持つ。

本取材に協力してくれた協会の担当者は「主に合金やめっき、化学製品などで幅広く使われています。身近な所ではステンレスですが、最近ではリチウムイオン電池の正極材の材料としても多く使われています」「なお、現在世界で生産されているニッケル約300万トン(年間)のうち、約7割がステンレス合金向けに使用されています」と、説明する。

身近な例で言うと、流し場のシンクや鉄道の車両、構造材や屋根材などに使用されており、現代人の生活範囲で「ステンレスが存在しない場所」を探す方が難しいだろう。

ステンレス(Stainless=錆びない、錆びにくい)という名が示すように、非常に錆びにくい合金としてのアイデンティティは、ニッケルに依るところが大きい。

一見普通の10円玉、とんでもない正体にギョッとした 完璧すぎる「擬態」にネット民驚愕
(画像=『Sirabee』より引用)

そのため協会担当者も、件の百円玉を見て「通常の用途では、ここまで銅色に錆びることは考えにくいと思います」と、ドン引きした様子を見せていたのだ。