トラックに初搭載したAYC

トラックだけどSUV並みの乗り心地と運転のしやすさ、静粛性をもつモデルを目指して開発されたのが6代目のトライトンだ。ボディはフレーム構造でリヤサスペンションにはリーフを採用しており、このあたりは商用トラックとしての必然になるが、それをSUVレベルに引き上げている。

一般道の試乗では舗装が綺麗な場所であればSUVと遜色ない乗り心地になっている。しかし舗装の悪い場所ではトラック独特の揺れ方をする。SUVに慣れた人であればその揺れ方は新鮮であり、トラックを長く乗っている人には乗用車的に感じる乗り心地だと思う。

独特の揺れ方というのはフレームとボディの間はブッシュを介しているため、入力からの減衰がモノコックのSUVとは異なるわけで、感じ方はどのクルマと比較するかによって印象は異なるだろう。ただ、一般的なトラックのイメージではなく、SUVの乗り心地に近いイメージになるはずだ。

そしてハンドリングではEPSを採用し、車速感応型制御なので、低速では軽く、高速では手応えのあるフィールに仕上げてある。そしてセンタリングもしっかりと出してあり、こうした点でもSUVライクなステアフィールと言える。一方操舵フィールは鷹揚でゆったりとしたレスポンスに仕上げている。これは悪路走行でのキックバックや荷台が重くなった時を想定しているためで、ここはトラック向け仕様としているのだ。

トラックに初搭載したAYCにも注目。ランサーで培ったAYCをトライトンに搭載した。アクティブ・ヨー・コントロールは車両の旋回性能を上げる機能で、左右の車輪速と操舵角のデータをセンシングして旋回ヨーを発生させている。そのためμの低い路面でもアンダーステアが出づらく、スポーツドライブも可能になるのだ。近年はADASを搭載しているため、ブレーキ制御で車線逸脱をコントロールしているため、その領域で背反があり、制御プログラムを作る上で苦労したということだ。

SUVレベルのエクステリア&インテリア

トライトンの外観は魅力的だ。分厚いフェイスに水平基調のエクステリアデザイン。そしてボディの大きさも相まって力強さやタフさを感じさせ、乗ってみたい衝動にかられる。GSRには黒のオーバーフェンダーが装備され、GLSとは見た目で大きく異なっている。このあたりは好みもあるが働くクルマとしてのポジションもしっかり意識したラインアップというわけだ。

【試乗記】三菱トライトン これがトラックか! どんな僻地にも辿り着ける安心感とライフスタイルからのアプローチにも頷ける魅力が満載
(画像=分厚いフロントフェイスが頼もしく、路肩も照射するLEDライトも装備、『AUTO PROVE』より引用)

インテリアにも驚く。まさにSUVと同等と言えるレベルの内装であり、ソフトパッドが惜しみなく使われており、「商用」、「トラック」、「安っぽい」といった用語が脳裏に浮かばない。コクピットはまさに飛行機をイメージさせ、整然と並ぶスイッチ類にも懐かしさがプラスされて惹きつけられる。

【試乗記】三菱トライトン これがトラックか! どんな僻地にも辿り着ける安心感とライフスタイルからのアプローチにも頷ける魅力が満載
(画像=整然と並ぶスイッチは大型で認識しやすく、室温調整はトグルスイッチでグローブをしていても扱える配慮、『AUTO PROVE』より引用)

スイッチの大きさも手袋をしたままでも操作ができる配慮からサイズ決定されており、SUVライクでありながらトラックであることを忘れていない。

キャビンスペースは大人5人が乗れる広さがあり、運転席のシートスライドも大きく取れる設計になっている。高いシート・ポジションからの眺めもよく、視界良好だ。細かいところではドリンクホルダーやUSBのAタイプ、Cタイプが用意されていたりと、乗用車ライクな装備は長距離移動には嬉しい装備だ。

【試乗記】三菱トライトン これがトラックか! どんな僻地にも辿り着ける安心感とライフスタイルからのアプローチにも頷ける魅力が満載
(画像=大人3人が座れる後席の広さ、『AUTO PROVE』より引用)
【試乗記】三菱トライトン これがトラックか! どんな僻地にも辿り着ける安心感とライフスタイルからのアプローチにも頷ける魅力が満載
(画像=水平基調で傾きがわかりやすい、『AUTO PROVE』より引用)