■人狼、捕縛される
捕まるどころか疑われることもなかったシュトゥッペであるが、悪運は続かなかった。伝説によると、ある日ハンターたちは森で巨大な狼を発見し、猟犬を使って追い込んだ。すると、追い詰められた狼——シュトゥッペは魔法のベルトを外して人間の姿に戻った。人々は最初、シュトゥッペ本人ではなく、悪魔が彼の姿に化けているのではないかと疑ったという。だが本人であることが確認され、シュトゥッペは捕縛された。なお彼は捕まる直前、変身ベルトを谷底に投げ捨てたとされる。このベルトは後の捜索でも見つかっていない。
取り調べを受けたシュトゥッペは、一切の犯行を認めて自供した。また、親戚(妹という説も)であるカタリナ・トランプ(余談であるが、彼女こそドナルド・トランプの祖先の一人と噂される人物である)と夫婦関係にあるだけでなく、娘シビルと近親相姦の関係にあることも認めた。そして1589年10月28日、シュトゥッペは連続殺人と悪魔崇拝だけでなく、カタリナやシビルとの近親相姦でも有罪とされ、死刑の判決を受けた。
1589年10月31日、シュトゥッペは車輪刑によって処刑された。巨大な車輪にくくりつけられ、手脚を斧で叩き折られ、焼けたヤットコで10箇所の肉をむしり取られた後、その首を刎ねられたのである。首はポールのてっぺんに乗せて晒し者とされ、死体は車輪ごと燃やされた。また共犯者とされたシビルとカタリナも絞殺され、シュトゥッペと共に焼き捨てられた。