あとがき

三好とのインタビューは筆者にとって格別な思い入れがある。川崎市出身の三好と同様、筆者も川崎市で生まれ育ったからだ。川崎フロンターレのサポーターでもある筆者にとって、三好が「アカデミー史上最高傑作」と呼ばれる理由とその意味の重みも十分に理解しているつもりだ。

そんな三好への取材を通していつも驚かされるのは彼の平常心だ。試合後の取材では勝っても負けても常に同じように明るく丁寧に振る舞う三好の姿が印象的だったが、これも川崎のアカデミー時代に培われたものなのだろう。結果に関わらず平常心を保てるからこそ、安定して質の高いプレーを披露できているのかもしれない。そしてバーミンガムへの移籍について「全く迷いはない」という力強い言葉を聞き、並々ならぬ覚悟を持って彼がイングランドに挑戦していることを明確に感じた。

バーミンガムは2024年3月現在、3部リーグへの降格圏ギリギリにまで沈んでいるが今シーズンから経営に参入した米投資企業オーナーのもと、来季はプレミア昇格に向け本格的な大型補強に乗り出すと見られている。2023シーズンのJ2リーグを町田ゼルビアが制覇したように、三好が中心となった新生バーミンガムがチャンピオンシップを席巻し、2012年以来となる悲願のプレミア昇格を果たすのも決して遠い夢物語ではなさそうだ。川崎で名を馳せた「アカデミー史上最高傑作」の活躍に是非とも期待したい。