職場でカミングアウトはした方が良い?
ーーー職場でのカミングアウトについてはどう考えていますか?
海老根:カミングアウトがきっかけで、職場から適切なサポートを提供してもらえるといったポジティブな結果につながる可能性がある一方で、職場の理解がなくハラスメントやアウティングの被害にあってしまう可能性もあるため、1人ひとりが判断していくテーマだと考えています。
ただ、入社後にカミングアウトしたものの、ふたを開けてみたらまったくサポートがなかったといった相談をいただくこともあるので、そういった事態を防ぐためにも入社前に会社について調べるのは大切なのかもしれません。
大朋:カミングアウトに関しては、それぞれの考えがあっていいと思います。自分が働くうえで何を大事にしたいのか、自分自身をどう表現していきたいのかを考えたうえで決断されるのが良いのかなと思います。
私の場合は、自分自身のことを伝えられていた方が、自分がストレスなく働けること。また家族やパートナーに何かあった際にお休みを取りたい場合など、周囲に理解をしてもらえやすいことを考えて、会社や同僚にはカミングアウトした状態で働いていました。
ーーーLGBTQ+当事者へのサポートを行っている企業かどうかを確認する場合、なるべく当事者がハードルを感じずに行える方法はありますか?
海老根:企業様がどのような思いをもっているのか、D&Iに関してどのような取り組みを行っているのか(もしくは今後していきたいのか)を確認するといいのかなと。しかし、質問することで当事者であることがバレてしまうことを懸念する人もいるでしょう。
そういった場合、たとえば「D&Iの取り組みを行うことで、離職率が13倍改善されるといった事例※もありますが、御社は今後D&Iを推進していきたいと考えていますか?」のように、自分視点ではない質問の仕方をするのはおすすめです。
出典:BCG「A New LGBTQ Workforce Has ArrivedーIncruisive Cultures Must Follow」
ーーー個人的な質問というより会社側に焦点を当てることで、当事者も気軽に質問ができるということですね。
海老根:あとはLGBTQ+当事者だけでなく、誰しもが個別のサポートが必要になる可能性があるので、困ったことがあった場合に相談できる窓口や相手がいるかどうかも確認するうえで大切だと考えています。
ーーーカミングアウトをしようか悩んでいる就活生・新卒生に向けて、アドバイスをするとしたらどう声をかけますか?
大朋:先ほどお伝えをした内容と少し重なってしまいますが、カミングアウトをするかどうかは1人ひとりが判断するテーマだと思っています。私の個人的な意見にはなりますが、『自分がどのように働きたいか。』が一番重要だと思っています。
なので、無理にカミングアウトをする必要もないですし、カミングアウトして働けた方が自分にとってストレスなく働ける場合はカミングアウトをするというのも一つの選択肢だと思っています。ただ就職を考えている企業に理解があるか否かはきちんと確認をしたり、知った上で、カミングアウトをすることは大事かなと思っています。