社会に合わせるのではなく、社会が個人に合わせていく
ーーー事業内容を教えてください。
海老根:「ダイバーシティ採用事業部」「DEIBラボ事業部(※2)」「D&I AWARD推進部」の3つの事業を展開しています。
1つ目のダイバーシティ採用事業部では、求人サイト「JobRainbow」の運営や、昨年11月に開催したダイバーシティ推進企業限定の合同説明会「ジョブレインボーしごとEXPO」のようなイベントの開催に取り組んでいます。
海老根:2つ目のDEIBラボ事業部では、企業様に向けたダイバーシティ研修やコンサルティングなどを提供し昨年には「D&I検定」というD&Iを「自分ごと化」するためのサービスをリリースしました。D&Iは女性、外国人、高齢者、LGBTQ+など、身近に当事者がいたり、自分が当事者だったりなど、誰もが密接に関係するテーマなため、根本的な理解促進を目指しています。
最後のD&I AWARD推進部では、2021年から始まった企業様のD&Iに関する取り組みを評価・認定する制度「D&I AWARD」の運営が主です。
(※2)D&Iとは、「ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(受容性)」を指し、多様な人材を受け入れ尊重することで、個人のスキルを発揮できる環境を整備する取り組みのことです。
ーーー3つの事業で共通して目指していることはありますか?
海老根:「差異を彩へ。自分らしくを誇らしく」をビジョンとして掲げ、1人ひとりの違いが社会としての彩りになることを目指しています。
現状、マジョリティーが享受できるサービスはあっても、マイノリティーの人が当たり前に享受することが難しい社会があるので、「個に滑らかな社会を実現する」という点を意識しています。社会に合わせていくのではなく、社会が個人に合わせていくことが大切なのかなと。
LGBTQ+の就活・就労における問題
ーーー実際に当事者の就活生と関わるなかで、特にどのような困りごとを耳にしますか?
海老根:就職活動中のフェーズでは、履歴書の性別欄で男女のどちらに丸をつけたらいいかわからないという悩みや、面接官にカミングアウトしたら内定を取り消されたという相談をいただくことがありました。
大朋:私自身、LGBTQ+当事者なのですが、これまでに新卒・中途としての就職活動を経験し、困難に直面することがありました。
たとえば、リクルートスーツは男性=ズボン、女性=スカート、女性は化粧をすることが当たり前ということから服装に困ったこと。新卒の就活時は集団面接やグループディスカッションなどが多く、テーマによっては自己開示をしなければならない場面もあり、議論がうまくいかないことがありました。自分に嘘をついて選考に臨まなければならない時があり、心が苦しかったです。
ーーー入社後に直面し得る問題はありますか?
海老根:入社して部署でカミングアウトしたらハラスメントや差別的言動を受けてしまったというケースです。あとは、同性パートナーがいらっしゃる方で、法律上結婚している同僚と同等の福利厚生を受けることができないという悩みもよく聞きます。
会社にもよりますが、たとえばパートナーと一緒に社宅に住めなかったり、お祝い金がもらえなかったりなど、不平等が生じるケースはいまだに多いです。