栗島が相手サイドハーフを釣り出す

栗島はマイナビ仙台戦終了後にも筆者の取材に応じ、先制ゴールの場面でセンターバック石川と右サイドバック遠藤の間に立った意図を明かしてくれている。やはり相手サイドハーフを釣り出し、これにより開いた相手サイドバックとサイドハーフ間を突く狙いがあったようだ。

ー(INAC神戸戦と同じく)今日もセンターバック石川選手とサイドバック遠藤選手の間へ降りていましたね。そこに立っていた栗島選手のパスから遠藤選手が(相手サイドバックと)1対1になり、そこからの流れ(パス回し)で清家選手のゴールが生まれました。(栗島選手のポジショニングの)効果が出ましたね。

「はい(笑)。点に繋がって良かったです」

ーマイナビ仙台の左サイドハーフ、カーラ選手が釣り出されたところで栗島選手が(遠藤選手へ)パスを出しました。これで遠藤選手が相手サイドバックと1対1になりましたよね。

「ワイドのディフェンス(サイドバック)とサイドハーフの間へパスを入れたら、チャンスになる。この共通理解がチームのミーティングでもありました。そこ(相手サイドバックとサイドハーフの間)に貴子が立ってもいいんですけど、優が立てば貴子がよりゴールに近くなる(タッチライン際から内側へポジションを移せる)と思いました。私がセンターバックとサイドバックの間へ入ったことで、いい感じでゴールに繋がりましたね」


鈴木啓太(浦和レッズ所属時)写真:Getty Images

鈴木啓太を彷彿とさせる栗島

味方を活かすため、チームの機能性を高めるために何をすべきかを常に考えられる。これが栗島の最大の持ち味だと筆者は考える。ゴールやアシストを量産するタイプではないが、こうした人材はチームに不可欠だ。

ここまで攻撃面での貢献に着目してきたが、栗島は守備面でも存在感を示している。相手のパスワークをサイドへ誘導し、タッチライン際のボール保持者やその周辺の相手選手を漏れなく捕捉するのが浦和の守備の要諦であり、栗島は毎試合鋭い出足で相手の攻撃の芽を摘んでいる。

攻守両面において状況判断が的確。この栗島の特長は現J1リーグ所属の浦和レッズ(男子トップチーム)の中盤を長きに渡り牽引し、2015年に浦和一筋のプロキャリアに終止符を打ったMF鈴木啓太を彷彿とさせる。フォア・ザ・チームの精神をとことん突き詰め体現する。そんな栗島はこれからも多くの浦和サポーターの心を掴み続け、彼らから永遠に愛されるだろう。まるで鈴木啓太のように。