浦和のペースダウンを突いた湘南

このゴール直後から浦和が[4-1-4-1]の隊形を敷き、最前線からの守備(ハイプレス)も仕掛けなかったため、湘南がボールを保持する展開に。ビルドアップ時にウイングバックが低い位置に立ってしまい、相手のハイプレスをもろに浴びるというのが昨2023シーズンに見られた湘南の悪癖だが、この日はこれが見られず。杉岡と鈴木雄斗の両ウイングバックが相手サイドバックとウイングFW(守備時サイドハーフ)の間に立ったため、湘南は分厚い攻めを繰り出せた。

迎えた前半23分、田中が敵陣左サイドへのロングパスと見せかけ、ペナルティエリア右隅へ縦パスを送る。ここへ走った鈴木雄斗のクロスのこぼれ球を逆サイドにいた杉岡が折り返すと、このラストパスをルキアンが相手ゴールに押し込んだ。

前半32分には田中が敵陣ペナルティアーク付近でルーレット(ボールを軸にしたターン)を繰り出し、これに浦和守備陣が翻弄される。この直後の田中のシュートが鈴木章斗に当たって軌道が変わり、これが相手ゴールに吸い込まれた。

浦和レッズ MF岩尾憲 写真:Getty Images

守り切れなかった2点のリード

後半開始の笛から僅か15秒後、鈴木章斗が浦和DFマリウス・ホイブラーテンの横パスをカットした後にミドルシュートを放ち、湘南に追加点をもたらす。浦和の出鼻をくじいた湘南の勝利は濃厚と思われたが、ホームチームはこのリードを守りきれなかった。

後半10分、湘南は相手MF松尾佑介にコーナーキックのこぼれ球を押し込まれると、同19分にはセンターサークル内で大野のパスを受けた池田がボールをコントロールできず、ここから浦和の速攻が始まってしまう。この直後にボールを受けようとした浦和MF岩尾憲を、田中とDF大岩一貴のどちらが捕捉するのか。この点が曖昧になり湘南は岩尾にスルーパスを繰り出されると、これに反応した前田に同点ゴールを奪われた。

後半29分に田中のミドルシュートがポストに当たり、跳ね返ったボールをルキアンが押し込んだが、湘南はこの勝ち越しゴールもふいに。迎えた同36分、左サイドから中央へドリブルを仕掛けた松尾に湘南の選手が集まったため、ペナルティアーク後方で待ち構えていたグスタフソンがフリーに。この直後に放たれたグスタフソンのミドルシュートが平岡に当たって軌道が変わり、ボールは無情にも湘南が守るゴールに吸い込まれた。


湘南ベルマーレ MF平岡大陽 写真:Getty Images