中低速のトルクが厚い 
常用域のパワーがあるほど自在で楽しい 
MotoGuzziとTRIUMPHとRoyalEnfield

モトグッチV7スペシャル。
クラシカルなデザインばかりに目が行きがちだが、このマシンは街乗りが最高に楽しい。空冷縦置きVツインで、シャフトドライブの乾式単板クラッチというモトグッチにしかないエンジンのフィーリングは他のマシンとは異なる。低速と中速いわゆる常用域でのトルクが分厚いのだ。

ゆっくり走っても楽しいのは、トルクをしっかり伝える機構もさることながら、よく使う回転域でのトルクを厚くする出力特性だから。走っていて、最大パワーをいつも発揮するだろうか。そんな速度を出すのは一度でもあるかないかくらい。巡行速度の回転数でトルクを出す。これが楽しいのだ。しかも、アクセルレスポンスも良い。おいしい所をたくさん使えるから気持ちいいのだ。

クラシカルなツインエンジンが人気のトライアンフ。
中でもスクイランブラー900は常用域のトルクが分厚くて楽しい。正直、スクランブラーというカテゴライズしにくいジャンルのバイクには興味がなかったのだが、乗ってみたら最高に楽しかった。やはり中低速のトルクが厚く、常用域の速度で操り感がある。

よく使う回転域で、トルクが厚いと自在感があって乗り手のイメージにすぐ反応して動いてくれる。自分の脳とバイクがつながっている感覚。バイクと意思の疎通ができていて、しかも反応が速い。自身の手足のように動いてくれる。それも急に動くわけではない、程よく速い反応。いわゆるドンツキのドンではない。しかも、音も小気味良い。かっこいい2本のマフラーが奏でる音も相まって気持ちいいのだ。

インドでバカ売れのロイヤルエンフィールド。
インドと侮るなかれ、このハンター350は最高に面白い。ゆっくり走っているのに楽しい。この楽しさは日本では作れない楽しさ。作り手はバイクの楽しさを知っている。あえて割り切った走行フィールにしているのは、振動があってもこっちの方が楽しい、回転が伸びなくても、よく使う速度がワクワクするほうがいい、という大胆な割り切りがあるから。

分厚いシートはゆっくりで長く走っていても快適な厚みだし、低速に振ったトルクの力強い反応にも乗り心地を阻害しない厚さ。GB350よりも低速のトルクがある。だから、アクセルを開けてすぐに楽しい。グンっと出る。中速まで太いトルクが続き、不思議なのはどのギアでも速度が落ちでもエンストしそうにない。普通は、もっとガクガクするものなのだが、そこも楽しさの秘密の一つなのかもしれない。

●モトグッチ V7スペシャル
●トライアンフ スクランブラー900
●ロイヤルエンフィールド ハンター350