宮市亮(左)ハリー・キューウェル監督(中)渡辺皓太(右)写真:Getty Images

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2023/24の準々決勝第2戦が3月13日に行われ、横浜F・マリノスが山東泰山に1-0で勝利した。これにより3月6日に開催された第1戦との合計スコアが3-1となり、横浜FMの準決勝(ベスト4)進出が確定している。

両チーム無得点で迎えた後半2分、横浜FMのDF永戸勝也が敵陣左サイドでボールをコントロールしようとしたところ、山東DFトン・レイの足を踏んでしまう。この反則直後、前半に警告を受けていた永戸に再びイエローカード及びレッドカードが提示され、横浜FMは10人での戦いを余儀なくされた。

数的不利の状況下で後半30分に先制し、これ以降も山東の猛攻を凌いだ横浜FM。この背景には、昨年12月にケヴィン・マスカット前監督からチームを引き継いだハリー・キューウェル現監督による、ある英断があった。

横浜FMがいかにして勝利を手繰り寄せたのか。ここでは横浜国際総合競技場にて行われた準々決勝第2戦を振り返るとともに、現地取材で得たキューウェル監督と同クラブMF渡辺皓太の試合後コメントを紹介。そのうえで同クラブの勝因を検証・論評していく。


横浜F・マリノスvs山東泰山、先発メンバー

機能しなかった山東の[4-1-2-3]

本拠地での第1戦を1-2で落とした山東は、まず[4-1-2-3]の布陣で横浜FMに対抗。クリサンとフェルナンジーニョの両FW、及びMFバレリ・カザイシュビリの3トップを起点にハイプレスを仕掛けると思いきや、自陣へ撤退。ゆえに横浜FMがキックオフ直後から攻め込んだ。

また、山東は[4-1-2-3]の泣きどころである中盤の底の選手(DFガオ・ジュンイー)の両脇を埋めきれず、ここを横浜FMのFWアンデルソン・ロペスやFW植中朝日、渡辺皓太にキックオフ直後から突かれる。このスペースをインサイドハーフとセンターバックのどちらが守るのか。この点が曖昧だった。


山東は布陣を微調整し、喜田を捕捉し始めた

功を奏した山東の微調整

守備が機能していないことを受けてか、山東は前半途中に基本布陣を[4-1-2-3]から[4-2-3-1]に近い形へ微調整。これによりMFポン・シンリーとMFリー・ユェンイーのいずれかがトップ下を務め、基本布陣[4-1-2-3]の横浜FMのMF喜田拓也(中盤の底)を捕捉するように。また、[4-1-2-3]では埋めきれなかったセンターバック手前のスペースを2ボランチにしたことで守れるようになり、ゆえに横浜FMの攻撃が停滞し始めた。


永戸の退場により、横浜FMは[4-3-2]の守備隊形を形成