出版業界では、かなりのクルマ好きとして知られている戸賀編集長(トガ)。数々のクルマを乗り継いで来た彼が、10年に渡るメンズクラブ編集長という肩書を外し、忖度が無くなった状態のなかで、「どんな基準でクルマを選んでいたのか?」、「そのクルマの魅力はどこなのか?」等を大いに語ります。
話の聞き手は、戸賀編集長が雑誌編集者時代から30年来の付き合いを続けている、フリーランスエディターの菅原(スガ)。若い頃の数年間は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」の二人。そんな二人ならではの昔話、こぼれ話もお楽しみに!
菅原 前回では、敢えてノーマルのG550をチョイスし、その乗り心地の良さを実感したくせに、やっぱり六本木通りでG63に横に並ばれると、持ち前の『負けるのが嫌い』精神を発揮。速攻で乗り換えを決意しました、ってところで話しが終わったんだよな?
戸賀 なんかその説明の仕方には、悪意を感じるぞ。
菅原 たぶん、それは気のせいだ……っていうかトガ、クルマの乗り換えサイクルが短すぎだろ。
戸賀 いや、だってさ、大好きなクルマのことで負けるなんてことは、当時の俺にはどうしても我慢ができなかったんだよ。
菅原 い~や、当時ではなく、お前は昔から我慢ができなかった男だ。きっとそれは、間違いなく今も同じ。世界文化社時代に、「戸賀くんからクルマを取ったら何も残らない」的なことを、同僚の女子から言われているのを、俺は昨日のことのように覚えているのだよ(笑)。
戸賀 あ、それは俺も覚えてるよ(笑)。
菅原 覚えてるのか(笑)。まぁ、昔の話しはおいおい話すとして、早速、次のクルマにいってみたいと思います。今回もセカンドカーになるのかな?
戸賀 そうだね。ファーストカーのポルシェGT3だと、仕事でもプライベートでも支障をきたすことがけっこうあったからね。だから足になるセカンドカーが必要だったんだよ。ゲレンデでSUVの使い勝手の良さ、乗り心地の進化を感じることができたから、次も同じようなSUVを探していたら、偶然、良い出物を見つけることができた。
菅原 そのクルマとは如何に?
戸賀 ベントレーのベンテイガです。
菅原 ある意味、究極のSUVと言っても過言ではない一台だな。
戸賀 負けるのが嫌いなもんで(笑)。でも、現行のベンテイガではなく、マイチェン前の極上ものね。確か走行距離が200キロくらいだったかなぁ。俺は中古は好きではないんだけど、登録だけをした新古車なら走行距離も短いし許容範囲。エンジンはV8とW12があったけど、当然V8をチョイス。後になってW12が造られなくなったことを考えると、W12でも良かったかなぁと、いまだに思うことがあるけど(笑)。
菅原 さすが、負けるのが嫌いな男(笑)。
戸賀 うるさいよ(笑)。で、そのクルマは右ハンドルで、ボディカラーはベンテイガにしか設定されていない、ベンテイガ・ブロンズという色だった。よくゴールドって言われることがあったけど、10円玉と同じブロンズなんだよ。内装はテラコッタという茶系のフルレザー。シートにはマッサージ機能も付いているし、何もかもがラグジュアリーで最高の仕上がりだった。さらに運転は超しやすいし、めっちゃ静かで、めっちゃ速い。まぁ、搭載されたV8ツインターボはポルシェが開発したもので、カイエンターボと基本は一緒。だから速いのは当たり前かな。加えて、さすがベントレー、乗り心地も最高という本当に素晴らしいクルマだった。
菅原 (もしかして、ついにトガが最高のセカンドカーに巡り合えたのか?)←心の声
ところが…問題が2つ、いや3つあった…!
戸賀 でも、やっぱり納車されたその日から、魅力は落ちていくんだよ(笑)。まず問題が2つあった。第一に問題だったのが、ベンテイガ・ブロンズという外装色。俺は嫌いではなかったけど、珍しい色なのでけっこう目立つ。人の視線を集め過ぎてしまうのは、やっぱり、ちとキツかった。そして第二が、内装の仕立てがマリナーではなかったこと。ベントレーには、マリナー部門という究極のクラフツマンシップを持つスペシャリスト達の工房があるんだけど、ここが内装のカスタマイズもしてくれるんだよ。残念ながら俺のベンテイガは、マリナー仕立てではなかった。分かっている人は、「あれ? トガッチはマリナーにしなかったの?」って聞いてくる。これがけっこう面倒だった(笑)。
菅原 また、『負けるのが嫌い病』が始まった訳だ。
戸賀 うるさいな(笑)。でもじつは、それだけではないんだよ。ベンテイガでクライアントのところにお邪魔すると、まぁまぁ嫌味っぽいことを言われることがあったんだよね。
菅原 なんか凄く怖いんですけど(汗)。
戸賀 で、そんな時に考えたのは、「そりゃ、まだ何の結果も出してない若造が、ベントレーというチョイスは良くないよな、嫌味を言われて当たり前だよな」ってこと。もっと言うと、ベントレーはちょっとしたトラブルがあった時、クルマを診て貰うのに東雲まで自分でクルマをもって行かなくちゃならなかった。帰りはタクシーで帰る。二日後、修理が終わると今度はタクシーで東雲に向かい、自分で運転して帰ってくる。顧客の中には、ベントレーのスタッフがクルマの搬送をしてくれる人もいるという話を聞くと、まだまだ当時の俺が乗れるクルマではなかったんだなぁ、と考えたことを今でも思い出す。だからといって、今の俺が乗れるとも思ってないけどね(笑)。
菅原 トガが謙虚になっている!
戸賀 秋元 康さんの「さらばメルセデス」を読んでもらえば、この時の俺の気持ちが分かると思うよ(笑)。俺は秋元さんみたいな大成功なんて、まったくしてないけどね。
菅原 トガが謙虚になり過ぎていて、ちょっと怖い。
戸賀 うるさいよ(笑)。さらに妻にも、「パパに見せるのはやめて」って言われたしね(笑)。やっぱり、ベントレーは当時の俺には早過ぎた。分不相応って言葉を、あらためて学ばせてもらったクルマだったよ。
戸賀編集長、マイナーチェンジ後のベンテイガに乗る
戸賀 話しは変わるけど、この間、マイナーチェンジ後のベンテイガを借りて、2~3週間乗っていたんだよ。これが、俺が所有していたベンテイガと、同じV8で同じパワーのはずなのに、めちゃくちゃスポーティだったことに驚いた。かなり良い仕上がりで、すでに俺の次のセカンドカー候補の1台ではあるんだけど(笑)、じつは、そんなにスポーティではない、マイナーチェンジ前のまったりした乗り心地のベンテイガも忘れられないんだよね。
菅原 ファーストカーがスポーツカーだから、セカンドカーは乗り心地重視で選ぶっていう選択は俺も悪くないと思うよ。
戸賀 そうだよな(笑)。でも、内装で考えると、やっぱりマイナーチェンジ後の方がモダンで断然カッコいいんだよ。マイナーチェンジ前は、センターにカーナビのモニターがある一昔前のシンプルなレイアウトだったからね。今見ると、やっぱり古臭さは否めない。
菅原 でも、まったりとしたシルキーな味付けのV8の乗り味は忘れられないんだろ?
戸賀 そうなんだよ。だからマイナーチェンジ後の内装で、マリナー仕立てであること。さらにマイナーチェンジ前のまったりとした乗り心地を兼ね備えたモデルが出たら、けっこう需要があると思うんだ。それなら俺のセカンドカー候補の一番手になる可能性はかなり高い(笑)。
菅原 なるほど。次のセカンドカー候補をすでに考えている訳ね。そんなトガに、ちょっと聞きたいことがある。
戸賀 何だよ。
菅原 トガって、ベンテイガと同じ時期にマクラーレンの570Sに乗っていなかったっけ?
戸賀 マクラーレン! そういえばベンテイガと同じ時期に所有していた気がする。すまん、すっかり忘れてました(笑)。
菅原 トガ~、今は未来のセカンドカーより、頼むから過去の愛車をしっかり思い出してくれ~(泣)。
ということで、次回はマクラーレン570Sをお送りいたします。
ベントレー ベンテイガ
全長×全幅×全高: 5140mm×1998mm×1742mm
ホイールベース:2995mm
車重:2395kg
駆動方式:4WD
エンジン:3996cc V8 DOHC ツインターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:550ps/6000rpm
最大トルク:770Nm/1960-4500rpm
価格:¥19,946,000 ※2018年当時
文 菅原 晃
提供元・JPRIME
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