素人には甘くない配送業界

 アマゾン・フレックスに対し、SNS上では「労働環境が過酷」「1日の配達件数が多すぎる」といった声も寄せられている。

「200個配って日給1万8000円。8時間で配るとすると、1時間で25個、1個あたり3分以内に配達する計算になります。これは、かなり無理がある数字です。私はかつて引っ越し業者のトラックドライバーでした。引っ越しドライバーとしてはスキルが高いと自負していましたが、退職後に少しだけ宅配のアルバイトをした際、全然目標を達成できませんでした。そもそも個人宅への配達の仕事自体が、素人にとって大変だと思います。

 アマゾン・フレックスはドライバーにアプリをインストールさせることで、荷物の配達状況を管理しています。カーナビのような機能が付いており、配達ルートまで指定されるので、『管理され続けているようだ』『個人事業主としての自由がない』などと感じ、嫌がる人もいるようです」(同)

 ドライバーの事故率や運転の質はどのような状況なのだろうか。

「一般論として、運転というのは精神的な要因に大きく左右されます。もちろん、寝不足や二日酔いといった状態はよくありません。一部の大手運送会社では心に悩みを抱えている従業員をチェックすることで、事故対策を図り始めているところもあります。

 対してアマゾン・フレックスのドライバーは個人事業主なので、体調管理や精神的な面はすべて自己管理です。運送会社の鉄則として、ドライバーにプレッシャーをかけてはならないにもかかわらず、アマゾンは平気で過酷な状況を与えてしまっている印象です」(同)