試乗してもびっくり
さて、それぞれを試乗してみると、まずATTO 3のインテリアは随所に個性的なデザインが散りばめられ、新鮮な気持ちになる。ダッシュボードセンターには大きなタブレット型モニターがあり、このモニター自体も回転する仕組みで、使い勝手の良さにも斬新さがある。また流用の効かないデザインのものもあり、BYDの力の入れようを感じる。


走り出してみるとEVならではの静粛性の高さや、EVならではのレスポンスの良さといったものはすぐに感じられ、そして乗り心地の良さもある。ATTO 3は王朝シリーズということもあるのだろう、どことなく高級感を持ったモデルという印象を持つ。サスペンションはソフト系ではあるものの、高いボディ剛性もあり快適な乗り味と言える。
一方のドルフィンは、Bサイズということもあるが、乗り心地ではやや硬さがあったが、タイヤによる影響のようにも感じた。ドルフィンは補助金を使うと200万円台で購入できるという驚異的価格でもあり、ガソリンモデルからの入れ替えも環境が許せば試したいと感じさせる完成度と言える。


ATTO 3と同様の大きなセンターモニターはステアリングにあるスイッチで回転させることができ、これまでどうしてやらなかったのかという気づきを刺激する装備でもあった。


果たして国内での行方は
双方に共通する気になる点は、アラート系の出し方がある。ADASを装備しているため、レーンキープや先行車情報を常に掴んでおり、車両の動きに対して逸脱や接近をするとアラートがでる。もちろん、モニターにも表示されるが、音も出る。これらの危険に対するしきい値の課題として、人によって「危険」の度合いが異なるため、アラートが邪魔になるケースもある。すると設定を解除しかねないわけで、本末転倒となる。このあたりは一考してほしい。
じつは、こうしたアラートの設定は日本車にも共通していることで、欧州車との違いが明確。PL法も影響していると思うが、ユーザビリティを考えた時に、何がもっとも安全を担保できるのかという思考の違いがアジア系と欧州系で異なっているということかもしれない。


というわけで、中国車という先入観を捨て、工業製品として純粋に見ていくと日本車が追いつけていないところもあり、レベルの高さを実感する。グローバルで各社はバッテリー調達に苦慮している中、全量を自社生産できるBYDの強みもある。となると製品レベルの高さと安定供給という両輪がある故に旋風が起きているわけで、果たして日本市場も掴むことになるのか注目したい。

